作品解説文に「われらの時代のキリスト」…チョ・グク元法相をテーマにした展示会に行ってみた

ソウル市寛勲洞のナム・アートギャラリーで9月27日まで

 展示会のコースの中で「メインメニュー」と思われるものは、パク・ソンワンの「エレベーター」というタイトルの作品だった。

 イベントを紹介するパンフレットにもプリントされた絵画で、いわゆる「ケーキを持つチョ・グクの後ろ姿」として広く知られている写真をキャンバスに油彩で表現したものだ。「チョ・グク問題」の真っ最中だった2019年9月25日、当時まだ現役の法相だったチョ・グク長官の帰宅姿を撮影した写真だ。娘の誕生日から1日たった次の日にケーキを持っている様子を、ソウル市方背洞のマンションのエレベーター前で撮ったものだった。

 この写真を、チョ・グク元法相の支持者らはモノクロの絵にしてばらまき、いわゆる「チョ・グク守護集会」用のTシャツの柄や旗にもした。チョ元法相自身、その絵を自分のフェイスブックのプロフィル欄に一時アップロードしたが、すぐに取り下げるという一幕もあった。

 主催者側は、この写真のチョ元法相を等身大にして「ケーキの箱を持って一緒に写真を撮ってみましょう」と、フォトゾーンまで設置した。写真撮影のアクセサリーとして使えと、ピンク色のケーキの箱まで備え付けてあった。前日にここを訪れたチョ元法相当人も、この等身大写真の隣で記念撮影をした。

 「顔のない人」という作品もある。実際に目・鼻・口を省略した白いのっぺりした顔に、チョ元法相の特徴である髪型を併せて描いたものだ。

 そのすぐ横には「ろうそくの十字架」を形象化した作品も並べてあった。作品解説文は「その全てに堪えつつ正しい道を進む人、彼はまさにわれらの時代のキリスト」だった。

 1日見張り当番の女性に「この絵、売ることもしてるんですか」と尋ねてみたら「販売してはいるが、価格はアーティストに伺ってみないといけない」という答えが返ってきた。展示会に作品を3点出品したあるアーティストは、これを聞くと「私の作品を買って」と言い、1点につき150万ウォン(現在のレートで約16万7000円。以下同じ)の値を付けた。

 展示会の主催者側は、パンフレットのほか、別の物も配っていた。放射能マークに「フクシマ原発汚染水」という文言を記したステッカーとバッジも、無料で配布した。

 空色の背景に「ケーキを持つチョ・グク」のイメージが描かれている「図録」は有料だった。高額な作品の代わりにこの図録でも記念品として持っていこう、と思った。「クレジットカードいいですか?」。1日見張り当番の女性がイベントの主管者側に電話をかけて尋ねてみたが、すぐに電話を切って、こう答えた。「カードは駄目なんです。現金か、口座振り込みなら大丈夫です」。2万ウォン(約2200円)を振り込んだ。この展示会は9月27日まで開かれている。

キム・ミョンジン記者

【写真】展示された作品『ケーキを持ったチョ・グク』

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