今月11日に釜山市影島区のある水産物保管倉庫を取材した。韓国食品医薬品安全処の検査員2人が日本の北海道から輸入された生のホタテ貝6992キロに対する検査を行っていた。輸入水産物の30%、日本産の86%が釜山港経由でやってくる。検査員らは9つの段ボールを無作為に選び、包丁でホタテを取り出し色や匂いなどを確認した。
今回の検査で異常は見つからなかったので、検査員らは別のホタテをアイスボックスに入れ、釜山地方食品医薬品庁に運んで放射能検査を行った。ホタテは粉砕されて実験用の容器で運ばれ、「ガンマ核種分析器(放射能検査)」に入れられた。この分析器は1万秒(約2時間47分)かけて検体のセシウムやヨウ素の数値を測定する。ここで不適格判定を受ければ廃棄あるいは返送される。
食品医薬品安全処によると、2021年から2023年8月までの3年間に輸入された水産物の検査で不適格判定を受けた件数は67件だった。内訳は目や鼻で行う検査で20件、残留動物医薬品11件、重金属7件、微生物6件などだった。放射能検査での不合格は0(ゼロ)件だった。2011年の福島第一原発事故後、輸入水産物に対する放射能検査は強化されたが、これまでの12年間に放射能で不適格判定を受けた水産物は日本産を含めて1件もなかった。原発事故直後に処理されない汚染水が放出されたにもかかわらず、現時点でその影響は全くなかったわけだ。
過去3年間に不適格判定を受けた水産物を国別にみると、中国が20件で最も多く、次いでベトナム(9件)、スリランカ(7件)の順となった。日本は6件だった。中国の20件のうち5件は貝類から毒素が検出された。牡蠣やホタテなどの貝毒を基準値以上口にした場合、舌が固まり全身けいれんを起こすことがある。ベトナム産からは発がん物質のニトロフランなどが検出されたケースもある。
韓国政府は2013年から福島など原発周辺8県の全ての水産物の輸入を禁止している。日本産については放射能の全数検査を行っており、原産地証明書も要求している。日本の水産物に適用されるセシウム(放射能)の基準値は1キログラム当たり100ベクレル以下で、これは米国産の1200ベクレル、欧州連合(EU)産の1250ベクレルに比べて12倍も厳しい。日本産は基準値以下であっても放射能物質が検出された場合、ストロンチウムなど別の17種類の核種についての証明書が輸入業者に求められる。事実上、輸入が認められていないのだ。食品医薬品安全処は昨年だけで6548件の日本産水産物に対する放射能検査を行った。これはロシア産の815件、台湾産215件、米国産107件などに比べると圧倒的に多い。
キム・テジュ記者