そして、「『これまで人間の体にはトリチウムという物がなく、体内に入れたこともなかったのに、福島原発から汚染水が放出されて初めてトリチウムを体内に入れることになる』と勘違いしている人が多い」「摂取するトリチウムがどこで作られたかの違いだが、既に100万倍も多い量のトリチウムを摂取していながら、『日本で作られた』という理由でいっそう危険だ、と主張されているものだ」と語った。
また、中国とロシアが日本の汚染水海洋放出に反対していることについては「政治的な理由のためだ」と言った。姜健旭教授は「ロシアが空気を通して放出したトリチウムの量の方がはるかに膨大だ。海で薄めて排出する日本の汚染水に反対する理由はない」と言った。
一部には「汚染水が安全ならば日本で農業用水として使用せよ」という主張もあるが、姜健旭教授は「倫理的に正しくない話だ」として、むしろ韓国に及ぼす影響の方が大きいと言った。
姜健旭教授は「汚染水を日本国内で蒸発させれば、日本人がトリチウムにさらされた空気をそのまま吸い込むことになる。また、微量だが韓国にも空気の流れによってトリチウムが運ばれることになる」と説明した。その上で「福島から海を通して放出すれば北太平洋海流によって米アラスカ方面に真っ先に到達することになる」「だが、空気中に蒸発したトリチウムは大気の流れ上、韓国に直ちに拡散する」と説明した。
汚染水の海洋放出が始まるや、水産物に対する懸念が広がっている。これについて、姜健旭教授は「陸上で雨水などに当たって育った農産物や、水を飲んで育った肉類などは、海で取れる水産物よりもトリチウム濃度が約10倍高い」「トリチウムの摂取を少しでも減らしたいなら、むしろ水産物を多く食べるべきだ」と語った。
最後に、姜健旭教授は「汚染水の海洋放出問題が政治的確執の方向に流れていってはならない」と主張した。姜健旭教授は「過去にも米国産牛肉の狂牛病(牛海綿状脳症〈BSE〉)問題が政治的な目的で利用されたことがある。その時、打撃を受けた人々は韓国の一部輸入業者と米国だったが、今回の汚染水問題で直接打撃を受けるのは韓国の水産物関連従事者たちだ」「韓国国民に被害を与えてまで政治的に利用してはならない問題だ」と述べた。
キム・ジャア記者