6・25戦争停戦70年、北に10万人の韓国人拉致被害者…今なお一人も救出できず

停戦から70年、今も残された課題は

 6・25戦争停戦から70年が過ぎたが、今も北朝鮮に残る約22万人の元韓国軍兵士の捕虜、拉致被害者、離散家族の問題はいまだに解決できない課題として残っている。これまで70年間で韓国政府が救出した元韓国軍兵士捕虜や拉致被害者は一人もいない。

【写真】6・25戦争参戦勇士たちの写真記録

 6・25戦争拉北者家族協議会は28日に国会で会見し「勝敗のない休戦会談では拉致問題を堂々と取り上げることはできなかった」「拉致という言葉も使えず『飲み込まれた』『北朝鮮にいる』韓国の民間人などと表現されてきたが、その結果、民間人の拉致被害者はこれまで一人も帰還できなかった」と明らかにした。協議会は韓国政府に対して拉致問題を専門に担当する部署の設置を求めている。戦時拉致被害者は約10万人、戦後の拉致被害者も500人以上と推定されている。

 元韓国軍兵士の捕虜は正確な統計さえないのが実情だ。国連軍司令部は1953年に当時の韓国軍兵士失踪者を8万2000人以上と試算したが、停戦協定締結後に送還された捕虜はそのわずか10%の8343人だ。その後自力で北朝鮮から逃げてきた元捕虜はわずか80人で、うち67人はすでに死亡し、生存している13人もほとんどがすでに90代だ。国家情報院が脱北者の証言などから2007年に取りまとめた資料によると、当時の時点で北朝鮮に抑留されていた元韓国軍兵士の捕虜は1770人で、560人が生存していたという。問題はそれからすでに16年が過ぎ、現状把握とその後の対応が行われていないことだ。

 北朝鮮人権団体「ムルマンチョ(勿忘草=ワスレナグサ)」の朴宣映(パク・ソンヨン)理事長は「李承晩(イ・スンマン)大統領の時以来、南北首脳会談で韓国軍兵士だった捕虜と拉致問題を口にした大統領はいない」と指摘する。今も北朝鮮で生存している元韓国軍兵士の捕虜10人以上が朴理事長に救出を求めており、北朝鮮から送られてきた手紙だけで1500通以上に上るという。韓国の人権団体「転換期正義ワーキンググループ」のシン・フィソク法律分析官は「それでも2007年に把握した捕虜1770人の家族にも正確な事情は伝わっていないようだ」「相対的に韓国軍捕虜は通常以上に関心を持たれない傾向にある」と指摘した。

 13万人の離散家族のうち生存者は2023年6月30日時点で4万914人だ。韓国統一部(省に相当)は毎月離散家族の現状を公表しているが、それによると先月1カ月で233人が死亡したという。南北関係悪化の影響で離散家族の交流は2018年以来5年にわたり中断状態にあり、その間に1万7000人が死亡した。

金慶和(キム・ギョンファ)記者、ヤン・ジホ記者

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