「350万ウォンで新生児をお譲りします」 韓国ネット上で横行する不法養子縁組

出産の痕跡を嫌う家出青少年たち
病院の外で出産して「子ども売買」

「350万ウォンで新生児をお譲りします」 韓国ネット上で横行する不法養子縁組

 京畿道華城市で出生届の未提出で警察に摘発された20代女性は6月22日、「インターネットを通じて子どもを他人に譲った」と告白した。実際、乳幼児の不法養子縁組はオンラインを通じて容易に探し出すことができた。一部では養子縁組の過程で金銭のやりとりが行われているという。

【表】韓国で出生届なしに赤ちゃんポストに託された乳幼児数の推移

 同日午後、自分を慶尚北道慶州市の20代女性と明らかにしたA氏が「子どもを譲りたい」と題するカカオトーク・オープン・チャット・ルームを開いた。本紙記者が子どもの性別・年齢を問うと「元気な女の子で、6月27日に出産予定」という答えが返ってきた。同女性は「出産費用と産後の肥立ちまでの費用を合わせて350万ウォン(約38万円)くらいを考えている」とし「出産予定の子どもは次男だが、家計の事情で養子縁組に踏み切ることにした」と事情を語った。同女性は、夫と相談した上でのことかという質問には「いいえ」と答えた。

 カカオトーク・オープン・チャット・ルームだけでなく、ツイッターなどのソーシャルメディア(SNS、交流サイト)、ネイバー知識iN(Yahoo!知恵袋のような質問・解答サイト)でも自分の子どもを養子として送りたいという書き込みは、容易に目にすることができた。4月、ネイバー知識iNには「妊娠5カ月目だが、すでに第1子がいるため、2人目を育てるには経済的にも負担」として子どもの引き取りを求める書き込みがアップされた。ツイッターでも「乳児売買」「代理母」「代理母仲介人」などのキーワードで検索すると、類似の書き込みが数十件ヒットした。

 乳幼児を売買しようとする人々はシングルマザーや青少年が多いという。特に家出した青少年が寄り集まった「家出ファム(ファミリーの略)」は、外部との交流を断つという特性のため、出産や乳幼児の不法養子縁組、遺棄などの実態について把握することさえ困難、と警察関係者は頭を抱える。家出ファムのメンバーらは、自分の出産の痕跡を残そうとしないため、病院で出産記録を残す段階で養子先の人物の身元を記載したり、最初から病院ではない場所で出産したりするという。

 不法養子縁組で子どもを受け取った人が、管轄の住民センターに出生届を出す手続きもさほど困難ではないという。出生届のためには病院が発行した「出生証明書」を提出しなければならない。しかし、病院以外での出産は出生証明書の代わりに分娩(ぶんべん)に直接関与した人が出産事実を証明する叙述書を書くだけで認められる。保証人を買収して出生届を偽造するケースもある、と警察は明らかにした。

 このように、定められた養子縁組関連機関を通さずにオンライン上で個人同士の養子縁組を行うことは、金銭の行き来に関係なく全て不法だ。養子縁組特例法には「養子縁組関連機関を通さずに養子縁組をあっせんすれば、3年以下の懲役、または2000万ウォン(約220万円)以下の罰金刑」に処される可能性がある、と明記されている。

 崇実大学社会福祉学科のノ・ヘリョン教授は「乳幼児の不法売買は常に行われてきたが、SNSやコミュニティーを通じてより隠蔽(いんぺい)され、匿名化された」とし「海外では別途の出生届なしに病院での出産と同時に自動で登録されるようになっているが、韓国はそうなっておらず、乳幼児売買の闇市場を育んでしまったようだ」と説明した。

シン・ジイン記者、ク・アモ記者

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