小児青少年科は健康保険医療報酬が他の診療科目に比べて低く、非給与診療は多くない。同じ人数の患者を診察しても、他の科に比べて収入が低いとする不満の声が絶えない。保健福祉部(日本の省庁に当たる)によると、2020年の医師の平均年俸は2億3000万ウォン(約2500万円)だが、小児青少年科医は1億875万ウォン(約1200万円)と、全体の臨床科医の中で最も低く、平均の半額にも満たなかった。これまで小児青少年科の医師たちは「薄利多売」型の診療で病院を運営してきたが、低い出生率により乳幼児が減り、経営難を訴えるケースが増えている。2017-21年の5年間に全国で廃業した小児科医は実に662カ所に上る。京畿道で病院を経営する小児科医は「10年前に初めて開院した時と比べると、患者数が10分の1に減った」と厳しい現状に触れた。
また、悪意のある苦情も小児科を遠ざける原因だ。ある小児科専門医は「地域のママカフェなどに掲載された書き込み一つが病院を滅ぼす」とし「ママカフェを武器に抗議する保護者たちに会うと、診療意欲を大幅に喪失する」と肩を落とす。意思疎通が困難な小児を診療しているため、訴訟などに巻き込まれるケースも少なくないという。小児青少年科専攻医の志願率は2020年の74%から21年に38%、22年に27.5%、23年には16.6%へと急減した。「ビッグ5」と呼ばれるソウル大学病院、ソウル峨山病院、サムスンソウル病院、カトリック中央医療院、セブランス病院のうち、ソウル峨山病院を除く全ての病院が定員を割り込んだ。
しかし、小児科がなくなったことで、ソウルでも両親は3-4時間待って子どもの診療を受けるというのが現実だ。郡単位では小児科の診察を受けるために、車で数時間も離れた中小都市まで駆け付けなければならない。保健福祉部は小児診療の報酬などを引き上げ、上級総合病院に小児救急専門医を24時間配置するなどの対策を発表した。しかし、「小児科脱出」を防ぐには力不足といった見方が多い。
チェ・ウォングク記者