社会の高い期待に押し潰され、自ら孤立…英BBCが見た韓国の「引きこもりの若者たち」

社会の高い期待に押し潰され、自ら孤立…英BBCが見た韓国の「引きこもりの若者たち」

「ある日、私は『自分の人生は間違っている』という結論を下し、引きこもり始めました」

 約5年間引きこもり生活をしたユ・スンギュさん(30)は「父親が望んで行くことになった大学を1カ月で辞めた後、そう考えました」と語った。ユさんは引きこもり生活中、家族に会いたくなくてトイレにも行かなかったという。

 ユさんは「なぜ(学業のコースを)選択する自由がないのだろうかと思いました。私は本当に悲惨でした」「このことについて両親に話すことができませんでした」と言った。ユさんは、今はなくなってしまったリハビリ団体を通じて引きこもり生活をするほかの人々と知り合い、2019年に引きこもり生活から脱することができるようになった。そうして今、ユさんは自身のような引きこもりを救う「怖くない会社」を設立・運営している。

 英BBCは26日(現地時間)、ユさんの経験をリポートした上で、「ますます多くの韓国の若者たちが社会の高い期待値に対してプレッシャーを感じ、引きこもりになる道を選択している」と報道した。韓国女性家族部は引きこもりの若者を「長い間密閉された空間で生活し、外部と遮断され、正常な生活にかなりの困難を来している青少年」と定義している。韓国保健社会研究院によると、満19-39歳の人口のうち約34万人、つまりこの年齢層の約3%が孤独を感じたり、孤立したりしているという。

 BBCは、「お金の問題が若者を引きこもり生活に追い込むわけではない」と、引きこもり生活を送っていたパク・テホンさん(34)のケースも紹介した。パクさんは「引きこもり生活をするすべての人々が経済的に苦しくなる訳ではありません」「お金が切実に必要な人ならば、むしろ社会に適応せざるを得ないかもしれません」と言った。パクさんはさらに、「引きこもり生活は、ある人たちにとっては慰めになることもあり得ます」「新しいことに挑むのはワクワクしますが、それと同時にある程度の疲れや不安も受け止めなければなりません。でも、部屋にいる時だけはそうする必要がありません」と話した。

 また、パクさんは「幼い頃、両親がよくケンカして、学校生活にも影響を及ぼしました。とてもつらくて、自分のことをケアできませんでした」と語った。パクさんは28歳だった2018年から治療を始め、徐々に社会生活に適応してきている。パクさんは「今、私たちは勉強を強要されています。あまりにも画一的すぎます」「私たちは若者たちに、彼らが好きで得意なことを見つけられる自由を与えなければなりません」と言った。

 BBCはこのような事情を伝え、「引きこもり生活をする若者たちの共通点は、自分が社会または家族の成功基準に合致しなかったと考えていること」「一部の人々は通常の進路通りに進まなければ社会不適合者扱いされ、また別の人々は学校の成績が良くなくて非難されたりもする」と報道した。

 引きこもり支援プログラムを運営する非営利社団法人「seed:s(シーズ)」のキム・スジン上級マネージャーは「韓国の若者たちは、社会が要求する期待に応えられなければ『私は失敗した』『もう遅すぎる』と思うが、このような社会的な雰囲気が彼らの自尊心を低下させ、結局、社会と断絶させてしまう」と言った。その上で、「引きこもりをしている人々は『私もこれほどできるんだ』『そんなに難しくないんだ』と感じられる職場が必要だ」「さらに多様な職業と教育機会を見いだせる社会にならなければならない」と語った。

チョン・チェビン記者

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