エプスタイン氏がゲイツ氏とアントノワ氏との関係をいつ知ったかは定かではない。ただしニューヨーク・タイムズによると、エプスタイン氏は自らが性的虐待をしていた10代の少女数百人に有力者の性的接待をさせ、これを弱みとして彼らを自らのイメージ宣伝や投資の誘致に利用してきた。2019年に死亡する前にエプスタイン氏は「私が持っているリストを公開すれば、世の中がひっくり返るだろう」とまで語っていた。アントノワ氏はエプスタイン氏が「管理」していた少女ではなかったが、ゲイツ氏にとっては打撃になるとエプスタイン氏は考えた。ウォールストリート・ジャーナルは「エプスタインは有力者を手厚く接待したが、気に食わなくなるとどれほど態度が変わるかを示す事例だ」と伝えた。
ゲイツ氏は2021年、それまでビジネスのパートナーでもあったメリンダ・ゲイツ氏と離婚し、世の中を驚かせたが、メリンダ氏は夫がエプスタイン氏と交流していた事実が公表されると激怒し、離婚を決意したという。メリンダ氏は昨年CBSテレビとのインタビューで「エプスタインがどんな人間か知るため1回だけ会ったことがある」「(マンハッタンの邸宅の)ドアを開けた瞬間から後悔した。彼はぞっとする人間だった。被害を受けた幼い女性たちのことを考えると、胸が張り裂けそうだ」と述べた。「ゲイツ氏が社内の女性社員や通訳などと不適切な関係を持った疑惑が離婚の理由か」との質問にメリンダ氏は即答を避け「結婚生活の信頼が崩れたので離婚した。その後も精神的な苦痛でたくさん泣いた」と語った。
ニューヨーク=鄭始幸(チョン・シヘン)特派員