日本による徴用工被害者を支援する市民団体が実際に賠償判決が出るはるか以前に被害者と「名目を問わず受け取った金銭の20%を支払う」とする合意文書を交わしていたことが明らかになり、いわゆる「過去史ビジネス」論争が再び浮上した。誤った過去の歴史を正し、被害者を癒やすという大義名分を前面に掲げてはいるが、実際には金銭や雇用が裏の目的ではないかと疑われる事例がまたもや見つかった格好だ。金大中(キム・デジュン)政権期の疑問死真相究明委員会を発端として、歴史問題に対するさまざまな委員会活動が続き、それらが民主社会のための弁護士会(民弁)など特定集団の利益追求手段に転落しているという批判もくすぶり続けている。
■歴史問題はカネもうけの手段?
韓国大法院では昨年1月、真実・和解のための過去史整理委員会(過去史委)に所属し、自身が調査を担当した事件の弁護を引き受け、数十億ウォン(数億円)の受任料を受け取った民弁出身弁護士2人の有罪が確定した。弁護士法は公務員の身分で扱った事件を受任してはならないと定めている。有罪が確定したキム・ジュンゴン弁護士は2008年から10年にかけ、過去史委の常任委員として活動し、「拉致帰還漁師スパイでっち上げ疑惑」などを調査した後、被害者が起こした国家賠償訴訟数十件を受任し、24億ウォン余りを受け取ったとして起訴された。
金大中、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権期の過去史委による活動以降、10年から14年までの5年間に歴史問題を巡って韓国政府を相手取り起こされた損害賠償訴訟の訴訟価額は1兆2500億ウォンに達した。民弁出身の弁護士たちが代理して扱った訴訟が多い。徳寿、正平、地平という3つの法律事務所を通じて請求された金額は6246億ウォンで、全体の49.9%を占めた。このうち正平の代表は旧統合進歩党の李正姫(イ·ジョンヒ)代表の夫である心載桓(シム・ジェファン)弁護士だった。民弁の統一委員長だった沈弁護士は、過去史委が調査したさまざまな事件の弁論を担当した。大韓航空機爆破事件の真相究明委で活動していた際には、「金賢姫(キム・ヒョンヒ)は完全に偽物だ。絶対に北朝鮮工作員ではないと断定する」と主張した。
「慰安婦運動」も歴史問題ビジネス疑惑の代表事例として挙げられる。正義記憶連帯の理事長だった無所属の尹美香(ユン・ミヒャン)議員は11年から20年にかけ、個人・法人口座で集めた1億ウォン余りを横領した疑惑などとして起訴された。今年2月の一審判決では横領された資金の使途を検察が明確に証明できなかったという理由などで1700万ウォンだけが有罪となり、現在二審で争われている。これに先立ち、今年1月には慰安婦被害者支援団体への補助金を詐取したとして、京畿道広州市の「分かち合いの家」のA元施設長(所長)に懲役2年6月が言い渡された。