丹東の大型卸売市場では、北朝鮮の貿易省が少なからず目撃された。4月19日、丹東のある大型卸売市場では、北朝鮮の旗(人共旗)を掲げて北朝鮮貿易商を相手に呼び込みをする店舗を見ることができた。この日、衣類売り場で見掛けた北朝鮮貿易商の男女は「チャックが全然駄目だからあと5元(約96円)は値下げしないと」と、中国人卸売商と価格の話し合いをしていた。向かい側のスポーツ用品店では、また別の北朝鮮貿易商の男女が5-6個の卓球用ラケットを種類別に広げて見せて製品の品評をしていた。中国人の卸売商は、別の客が店をのぞき込んでも気にすることなく北朝鮮貿易商の対応にのみ集中した。丹東の消息筋は「北朝鮮貿易商は、一度に数千元(1000元は約2万円)相当の取引をするのでVIP待遇を受けている」と語った。
今後、中国・北朝鮮間の陸路および鉄路の運行が正常化して国境が全面開放されたら、北朝鮮制裁の抜け穴は抑えようもなく大きくなるだろうという懸念が浮上している。国連の制裁対象から除外されているのは北朝鮮観光、賃加工製品くらいだ。北朝鮮が経済回復を図るためには、制裁品目を中国でひそかに売り買いするしかない状況だ。北朝鮮が開城工業団地内の工場に中国資本を引き入れようとしている状況もキャッチされている。
中国との交易がほとんど途絶えた北朝鮮の食糧難と経済悪化は深刻で、臨界点に迫っているといわれる。昨年9月の丹東-新義州間における汽車の運行再開も、北朝鮮側が中国に食糧など「七つの品目」を緊急に要求し、朝中の高官クラスが丹東で会談した直後に実現したといわれる。丹東の消息筋によると「今年1月にも、北朝鮮在住の華僑50人以上が、現地の事情に耐えられず中国に渡ってきた」と語った。
北京=イ・ボルチャン特派員