勤めていた酒類会社を辞めて2020年7月、金浦市内に「キム・チャンス・ウイスキー蒸留所」を開き、2022年4月に初めてウイスキーを出荷した。キム代表は「スコットランドより昼夜の気温差が大きい韓国では、比較的熟成速度が速い」「3年物のウイスキーで10年物の風味を出すことができる」と言った。ウイスキー評価サイト「WHISKYFUN(ウィスキー・ファン)」はキム・チャンス・ウイスキーに87点を付け、「日本から材料を持ってきたのではない、本物の韓国ウイスキー」「K-POPに次ぐK-malt(Kモルト)」と評価した。1本20万ウォン(約2万円)前半で売られているキム・チャンス・ウイスキーだが、最高で200万ウォン(約20万円)で転売されるほど人気だ。
だが、キム代表は「今まで930本売ったが、1カ月に数千万ウォン(数百万円)かかるコストを考えれば、借金がかさむばかりだ。お金を節約するため、私が設計し、組み立てた設備を自ら修理しており、1週間の半分をここで徹夜している」と語った。スタッフは友人1人だけで、現在の施設では生産量を増やすことも難しい。キム代表は「今の生産規模ではお金を稼げない」と言いながらも、「独立系の映画をうまく作れば投資を得て商業映画が撮れるように、ウイスキーを上手に作るということだけを示せばうまくいくだろう」と語った。
キム代表は最近の韓国のウイスキー・ブームについて「所得がある程度増えると、ビールのような大衆的なアルコール類の次に流行するのが、価格もアルコール度数も高い蒸留酒、その中でもシングル・モルトだ」「ウイスキーは需要が増加しても生産量を増やせないため、当分の間は流行が続くだろう」と話した。そして最後に、「韓国産高級ウイスキーが競争で不利なのは、価格に比例して税金を課す従価税も一因だ」としながらも、「海外のウイスキーと競い合っても遜色(そんしょく)のない製品を出していく」と言った。
イ・ミジ記者