日本のアニメ作品が中国の劇場街を席巻している。最近、日本が米国の対中けん制に加わり、中国国内の対日世論が悪化しているのとは相反する様相だ。
中国のオンラインチケット販売プラットフォーム「猫眼」(マオイェン)が4月21日に明らかにしたところによると、日本のバスケ漫画『SLAM DUNK』(スラムダンク)の劇場版『THE FIRST SLAM DUNK』は、公開初日だけで9865万元(現在のレートで約19億2000万円。以下同じ)の興行収入を記録した。同作は事前予約販売でも1億1500万元(約22億4000万円)と、歴代輸入アニメ作品の最高記録を書き換えた。
『THE FIRST SLAM DUNK』中国公開前日の4月19日夜11時、重慶市のある映画館では30-40代の男性らが赤いバスケのユニフォームを着て列を作った。映画公開を控えて、あらかじめ並んでいるのだ。この日、中国版カカオトークに該当する「微信」(ウェイシン、WeChat)は「スラムダンクの映画チケット買います」というメッセージで埋まった。特に、子どものころスラムダンクのコミックを読んで育った「80後」(バーリンホウ、80年代生まれ)らが映画チケット購入に乗り出した。『SLAM DUNK』の原作者・井上雄彦氏は、ツイッターに「中国でたくさん応援してもらえてうれしい」と書き込んだ。
これに先立ち、3月に公開された新海誠監督の新作『すずめの戸締まり』は、中国で累積観客数・興行収入いずれも歴代日本アニメ作品中1位を記録している。新海誠氏は『君の名は』『天気の子』などの作品の監督だ。『すずめの戸締まり』は、中国で累積観客数2000万人を超え、興行収入も8億元(約156億円)に達した。TikTokの中国国内版「抖音」(ドウイン)では、映画に登場する「戸」のように家のドアを改造する動画が人気だ。
こうしたヒットは、中国で子どものころから日本漫画を見て育った30代・40代の郷愁を刺激したからだと分析されている。北京大学の張頤武教授は、国営メディア「グローバル・タイムス」の取材に対し「日本の文化商品は多くの中国ファンを確保した」としつつも、「中国と日本の関係が国交正常化後最も深刻な状況にある中で、文化交流が両国関係を進展させられるかどうかは疑問」と語った。『THE FIRST SLAM DUNK』と『すずめの戸締まり』は、韓国でもそれぞれ累積観客数が400万人を超えた。
北京=イ・ボルチャン特派員