AI小銃、風を計算して自ら標的を追跡…米・印など15カ国以上で導入

 兵士が使う小銃に人工知能(AI)を搭載したらどうなるだろうか。兵士は小銃を、群衆の中にいるテロリストや敵軍の兵士に向け、標的を確認する。AI小銃は自ら標的を追跡する。例えば400メートル先の標的を、動きのデータや現場の風速計算に基づいてスコープが自動追跡する、というような方式だ。兵士がトリガーを引けば銃弾が飛んでいく。イスラエルの防衛関連企業「Smart Shooter」が開発したAI小銃だ。

【図】韓国防衛産業の22-23年の輸出・受注現況

 20日に日本経済新聞が伝えたところによると、米国・インドなど15カ国以上がこの企業のAI小銃を導入した。同紙は「今年2月末にアラブ首長国連邦(UAE)で開かれた武器展示会で、この企業はAI小銃が実際に標的を追跡するデモを披露し、これを見ようと観衆が殺到した」と報じた。購入国リストに韓国や日本があるかどうかは公にされなかった。ミサイルは、標的が放つ赤外線を捕捉して追跡する。AI小銃はこれとは違い、既に学習したデータに現場のデータを適用して、変化する標的の位置を予測するというやり方だ。この技術はドローンにも適用できる。AI小銃を搭載したドローンを群衆や敵軍の周辺に浮かべておき、操縦者はドローンが撮った映像を見ながら遠隔操作で標的を確認した後、ボタンを押して銃弾を発射するという法式だ。

 AI小銃は、殺傷兵器とAIを組み合わせた際のAIの破壊力を示す一つの事例に過ぎない。最近では、あらゆる先端兵器にAIのデータ分析と予測能力が搭載される傾向にあるからだ。米国はIT大企業のアマゾン・ウェブサービスと手を組み、陸海空および宇宙軍部隊の情報を統合してAIで戦略を樹立する「統合全ドメイン指揮統制(Joint All-Domain Command and Control/JADC2)」構想を進めている。殺傷に対する罪の意識がないAIが戦闘兵器や戦争戦略の前面に登場しているが、国際的には「AI兵器」に関連する規制はないのが現実だ。今年2月にオランダで開かれたREAIM(Responsible Artificial Intelligence in the Military Domain、軍事分野における自律判断人工知能)が、AIの軍事的利用を巡る初の国際的な議論の場だったが、強制力のある規制案を打ち出すことはできなかった。

東京=成好哲(ソン・ホチョル)支局長

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