アジアのソフトパワーの軸が「日本→韓国」へシフト
1958年、世界で初めてインスタントラーメンとカップラーメンを開発した日本の大手食品メーカー・日清食品が、韓国の大手食品メーカー・三養食品のヒット商品「カルボブルダック炒め麺(めん)」シリーズをまねたような製品を発売した。
【写真】韓国・三養食品が2018年に発売した「ブルダック炒め麺」
韓国食品業界関係者が11日に明らかにしたところによると、日清食品は先月、袋入りインスタント麺「日清焼そばポックンミョン韓国風甘辛カルボ」とカップラーメン「日清焼きそばU.F.O.ポックンミョン濃い濃い韓国風甘辛カルボ」を発売したという。しかも、製品パッケージには、日本語の「焼きそば」ではなく、韓国語の「ポックンミョン(炒め麺)」がハングルで表記されている。
この製品は、形や製品構成が2018年に三養食品から発売された「カルボブルダック炒め麺」とよく似ている。三養は自社のカルボブルダック炒め麺について、「辛いソースにチーズを加え、まろやかなカルボナーラの味を出した」と紹介している。一方、日清のホームページにある商品説明は「コチュジャンの風味、チーズのまろやかなコクをきかせた」となっていて、辛さにチーズを加えたという説明が似ている。
パッケージはさらに似ている。背景の色が同じ薄いピンク色で、どちらも左側にかわいいキャラクターが描かれている。三養の日本法人・三養ジャパンの昨年の売上は前年比27%増の21億円で、カルボブルダック炒め麺シリーズが成長をけん引した。三養食品関係者は「我が社は日本で『カルボブルダック炒め麺』の商標登録をしたが、今回の日清の製品は名前の類似性が高くないため、法的に対応するのは難しい部分がある」と話す。
日清の今回の新製品発売は象徴的な現象だ、という見方もある。これまで韓日食品業界間では、ほとんどの場合、韓国企業が日本企業の製品をまねするという方向で行われていた。「ペペロ」(ポッキー)、「チョコソンイ」(きのこの山)、「セウカン」(かっぱえびせん)などは全て日本の製品の方が先に発売されている事例だ。
さらに1960年代、三養は韓国製インスタントラーメンを作るため、日清から技術を教えてもらおうとしたが、断られた経緯がある。その後、日清の日本国内のライバル会社である明星食品の助けを借りて、韓国初のインスタントラーメン「三養チキンラーメン」が発売された。
慶熙大学で外食経営学を教えるキム・テヒ教授は「アジアのソフトパワーの軸が日本から韓国に大きく移動したことを示す出来事だ。特に、これまでの韓日経済の歴史に照らしてみた時、象徴的な意味合いがある」と語った。
チェ・ヘスン記者