飼い主が殺害された瞬間を目撃したオウムが、犯人の名前を繰り返し叫んで事件解決のきっかけを作ったことが分かった。これは2014年にインドで発生した殺人事件で、現地の裁判所は9年経過した最近になってオウムの証言効力を認め、被告人に無期懲役を言い渡した。インディア・トゥデイなどの外信が27日(現地時間)に報道した。
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これらの外信によると、インドのある地方裁判所は24日、アシュトシ・ゴスワミ被告(36)に無期懲役と7万2000ルピー(約11万円)の罰金刑を言い渡した。アシュトシ被告は2014年2月20日に叔母ニラム・シャルマさんを殺害した。
今回の判決に決定的な役割を果たしたのは、ニラムさんが飼っていたペットのオウムだった。事件は9年前にさかのぼる。ニラムさんは9年前、自宅で出血多量により死亡しているのが発見された。家の中にあった現金と宝石もなくなっており、ペットの犬1匹も襲われて死んでいた。このせい惨な光景は、知人の結婚式に出席後に帰宅した家族が発見し、通報した。
ニラムさんの遺体にはひどい刺し傷が14カ所も残っており、ペットの犬の死体からも鋭い刃物で刺された跡が9カ所発見された。しかし、警察の調べではこれといった証拠が見つからず、捜査に進展はなかった。だが、ニラムさんの夫ビジェイさんは家にいたオウムが殺人を目撃していたかもしれないと考えるようになった。このオウムは事件後、特に静かになり、エサも食べなくなったためだ。
ビジェイさんはオウムの前で、知っている男性の名前を順に挙げた。そうして「おい」のアシュトシ被告の名前を口にした時、奇妙なことが起こった。オウムが「アシュ、アシュ」という言葉を繰り返し叫び、羽をばたつかせるなど興奮した様子を見せたのだ。オウムが言った「アシュ」は家族や親族たちがアシュトシ被告の名前を省略して呼ぶ時の呼称だった。
こうした状況を聞いた警察は聞き込み調査を経て、「アシュトシ被告がニラムさんの家から出てくるのを見た」という目撃証言をつかんだ。その後、アシュトシ被告と友人のロニー・マセイ被告(34)を逮捕し、多額の現金と大量の宝石も発見した。
しかし、その後の裁判は遅々として進まなかった。それ以上の直接的かつ明確な証拠がない上、オウムの証言が法律上の証拠に該当せず、その効力を認められなかったためだ。だが、アシュトシ被告が「友達のロニーと共謀して強盗計画を立てたが、相手が抵抗したため殺してしまった」と自白し、事件のてんまつが明らかになった。
地裁は「インドの証拠法上、オウムの証言が公式に効力を認められたとは言えない」としながらも、「裁判の過程ではオウムの証言が中心にあり、警察も『オウムの役割は大きかった』とその功績を認めた」と述べた。
しかし、オウムも、ニラムさんの夫ビジェイさんも、犯人が処罰されるのを見届けることはできなかった。オウムは事件直後からエサを拒絶するようになり、ニラムさんが殺されてから6カ月後に死んだ。ビジェイさんも2020年11月に死去したとのことだ。ニラムさんとビジェイさんの娘は最終判決で、「父はアシュトシ被告が絞首刑に処せられるのを望んでいた」「被告が相応の代償を払うよう、家族全員が請願を続けるだろう」と語った。
ムン・ジヨン記者