旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する少女像に杭(くい)を縛り付ける「杭テロ」を行い、慰安婦被害者に対する名誉毀損(きそん)などの罪で2013年に起訴された日本の極右政治家・鈴木信行氏(58)が、10日に開かれた裁判にまたも欠席した。鈴木氏は10年にわたり続いているこの裁判に1回も出席していない。
裁判所は来月再び裁判を行う予定だが、鈴木氏がこれにも出席しない場合は逮捕状を出し身柄の確保を進めるという。しかし法曹界からは「鈴木氏の身柄確保は事実上簡単ではない」との声が相次いでいる。鈴木氏が自ら韓国に来るか、国際司法協力により日本側の支援で身柄の引き渡しを受けなければ逮捕状は執行できないからだ。
ソウル中央地方裁判所刑事1単独のキム・サンイル部長判事は10日、鈴木氏の裁判を開いた。鈴木氏は2012年6月にソウル市鍾路区の旧日本大使館前に設置された少女像にいわゆる「竹島杭」を結びつけ、慰安婦を冒涜(ぼうとく)する発言を行うなど「慰安婦被害者らの名誉を毀損した」として起訴された。日本の金沢市にある尹奉吉(ユン・ボンギル)義士追悼碑に竹島杭を立てた写真と共に「尹奉吉はテロリスト」と書いて名誉を毀損した容疑もある。2016年には侮辱的な内容を書いた少女像の模型を慰安婦被害者のため施設であるナヌムの家などに国際郵便で送りつけ、これを撮影した動画をユーチューブに掲載し、慰安婦被害者らの名誉を毀損した容疑で追起訴された。
鈴木氏は2013年に起訴されてからこの日まで合計23回法廷を欠席。裁判所は鈴木氏が裁判への出席に応じないことから、2014年に逮捕状を出し指名手配を要請。18年9月には鈴木氏について日本に犯罪人引き渡しを請求した。しかし日本側は非公式に「検討中」と伝えただけだったという。関連する法令によれば、被告人の所在が明確でない場合は召喚状を公示送達し、被告人不在で裁判を開くことができる。しかし鈴木氏は召喚状を継続して受け取っているため、欠席裁判も不可能だ。ある法曹関係者は「身柄を確保するまで裁判は今後も引き続き空転するだろう」と予想している。
ヤン・ウンギョン記者