虚偽告訴事件の被害者が女性である場合もあった。2月27日に在宅起訴された男性D容疑者のケースだ。飲食店で会った女性にからみ、被害女性が断ると、D容疑者が「酒に酔った状態で女性に準強制性交を強要された」と通報した事件だ。ソウル鍾路署は送検を見送った。
事件を引き継いだ丁検事は、資料の補強に乗り出した。 丁検事は「公の場である飲食店で男性が女性から準強制性交を強制されたというのが常識に合わないように思えた」と話した。その結果、D容疑者が当時、飲食代を巡って女性と口論になり、階段で押し倒されたと通報され、それをもみ消すために虚偽申告に及んだことが判明した。
丁検事は自身の捜査実績に対して「検察捜査権完全剥奪法の波及効果だ」と説明した。共に民主党が推進した検察捜査権完全剥奪法に対抗し、法務部が下位の施行令を見直し、検察に虚偽告訴犯罪の捜査権を与えた結果だという。
法務部は昨年9月「検事の捜査開始範囲に関する規定」を改正し、検事が捜査できる「重要犯罪」に偽証、虚偽告訴など司法秩序阻害犯罪を含めた。この施行令改正は共に民主党が推進した「検察捜査権完全剥奪法」に対応し、韓東勲(ハン・ドンフン)法務部長官が切ったカードだった。
丁検事は犯罪被害者保護支援で2013年に検察総長表彰を受けた。16年にも同様の功績で法務部長官に表彰された。 丁検事は優秀捜査事例に15回選定され、22年下半期には第88回「模範検事」にも選ばれた。
丁検事は「性的暴力事件は虚偽告訴が多いが、虚偽が疑われるという事情だけでは立件し捜査することが困難な部分がある」としながらも、「無念な思いをする人が出ないように、客観的な証拠に基づき徹底的に捜査する」と話した。
キム・ミョンジン記者