中国が台湾産フルーツの輸入を禁止している影響で価格が暴落し、農家が苦境に立たされていることがわかった。
中国中央テレビ(CCTV)など中華圏メディアが16日に報じた内容によると、台湾の主要農産物の一つである鳳梨釋迦(パイナップル)の販路がストップし、台湾の農業関係者が苦しんでいるという。しかも今年は豊作で、数千トンのパイナップルが在庫として積み上がっている。
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生産農家は「中国が輸入を禁止してから価格が暴落し、人件費もまかなえないのが実情」とメディアの取材に答えた。
中国と台湾の対立が激しくなっている影響で、中国政府は2021年3月から「検疫で有害な寄生虫や禁止薬物が検出された」として台湾パイナップルの輸入を中断した。さらに同年9月にはパイナップルに加え釈迦頭(シュガーアップル)、蓮霧(ワックスアップル)など台湾フルーツの輸入を追加で禁じた。
昨年は「コロナウイルスの陽性反応が出た」として台湾産のクロソイ、太刀魚、アジなどの輸入を禁止し、台湾の多くの食品企業に対しても新規登録に必要な書類の不備などを理由に禁輸対象リストに追加した。
福建日報によると、1年で最も需要が多い今年の春節期間は600グラム当たりの価格がわずか20台湾ドル(約88円)に落ち込み、現在は15台湾ドル(約66円)にまで暴落している。中国が輸入を禁止する前は600グラム当たり70-80台湾ドル(約310-350円)だったため、それと比較すると今は80%ほど価格が暴落したことになる。
現地の農家は「台湾で収穫されるパイナップルは台湾だけでは消費できない」「中国本土に輸出できれば元の価格に戻るはずだ」と訴えている。
台湾メディアの中時新聞網によると、台東の耕作面積5500ヘクタールのうち1800ヘクタールがパイナップル農場だ。毎年1万4000トンが輸出されているが、そのうち中国向けは90%を占めており、12億台湾ドル(約53億円)を稼ぎ出してきた。
中国が台湾の農産物や魚介類の輸入をストップする理由は、台湾の政権与党・民進党の支持基盤とされる南部の農家を不支持に回らせるためとみられる。民進党は中国からの独立を訴え中国と対立している。
イ・ユンジョン記者