昨年5月、韓国国内のある4階建ての建物から苦情が入った。建物のある部屋からひどい臭いがするとのことだった。20代の青年が約1年前から暮らしている部屋だった。強制的にドアを開けると部屋全体がごみだらけだった。ベッドの上以外は、食べ物とビニール袋がいっぱいだった。青年は8年前から家族と離れて一人暮らしをしていた。青年の両親は「子どもは15歳の時から部屋でゲームばかりしていた」と話す。
このような隠遁(いんとん、社会的引きこもり)青年たちの逃避先はゲームと睡眠だ。1年半に及ぶ隠遁生活をしたというある青年は、メディアとのインタビューで「ゲームをするのがつらくて気絶するほどになると、まるで倒れるように眠りについた」と当時を振り返る。最近は「隠遁青年の孤独死」まで発生した。2年前、大田市のあるワンルーム・マンションで32歳の女性が死亡したが、部屋には成人男性の腰の高さほどまでごみがいっぱいだった。
青年たちが隠遁に陥るきっかけは、就職失敗が多い。大田市のワンルーム・マンションで亡くなった女性の部屋にも、本棚には「2週間完成面接準備」といった就職関連の書籍がぎっしりと詰まっていた。専門家たちは「超競争社会で優良な職場に通えなければルーザー(敗北者)と烙印(らくいん)を押してしまう文化のため、青年たちが失敗に耐えられなくなっている」と話した。このような隠遁青年の前段階がニート(NEET、Not in Education, Employment or Training)族だ。働かず、働く意志もない青年失業者だ。コロナ禍の影響で世界的にニート族が増加し、隠遁青年もともに増えているという。韓国国内のニート族は2020年に約43万人と、前年に比べ24%増えている。
ニート族の長期化が否定的な影響を与えた代表的なケースが日本だ。1990年代に長期不況が始まり、就職の適期を逃した青年たちが家に閉じこもったことで、引きこもりとなった。ニート族が病的症状まで見せる引きこもりになったのだ。当時20-30代だった引きこもりは今や40-50代の中高年になっている。日本内閣府の調査によると、40-64歳の引きこもりの人口は61万人と推算されるという。4年前には、東京都で農林水産省の次官まで務めた70代の父親が、ゲームにはまって両親に暴力を振るう引きこもりの40代の息子を殺害するという事件も発生した。
ソウル市が19-39歳のソウル市在住の青年のうち4.5%に当たる13万人が孤立・隠遁状態にあると推定される、と発表した。このうち55%はほとんど外出していないという。家の中だけで生活する期間が5年以上にまで長期化した青年も28%に上った。この隠遁青年はニート族と引きこもりの中間ぐらいに位置するのではないかと思われる。彼らが一日も早くこの世の日差しの下に出てくることを願う。
崔源奎(チェ・ウォンギュ)論説委員