済州道でスパイ組織疑惑が持たれている地下組織「ヒウッ・キヨック・ヒウッ」の組織責任者であるリベラル政党幹部A氏が2017年7月、組織立ち上げを命じられた際、北朝鮮の対南工作員の前で事実上の「忠誠の誓い」を行っていたことが10日までに分かった。
本紙が入手した捜索令状によると、A氏は2017年7月29日、カンボジア・アンコールワットで北朝鮮の朝鮮労働党直属の対南工作部署である文化交流局(旧225局)に所属する工作員に会い、近隣の宿泊先に入った。A氏は8月1日、仁川空港に帰国する前までの3日間、宿泊先に隠れ、対南工作グループから「済州道に地下組織をつくるように」との指令を受けたとされる。その席でA氏は工作員らに「祖国統一偉業の勝利のために屈することなく闘争する」という意思を表明したことが分かった。北朝鮮に忠誠を誓ったことになる。
実際、国家情報院が解読した昨年8月19日付の指令文にも「研究院(文化交流局)では初対面(2017年7月29日・カンボジア)の際、我々の偉業の勝利のために屈することなく闘争する意志を固めたその日の活気に満ちた院長(A氏)の姿をいつも思い描き、きっと健康を取り戻すことを心待ちにしている」との内容が登場する。A氏は北朝鮮の金日成(キム・イルソン)主席、金正日(キム・ジョンイル)総書記の誕生日に際しても忠誠誓約文を北朝鮮側に送ったという。A氏と北朝鮮は交信する際、金正恩(キム・ジョンウン)総書記を「総会長」、「ヒウッ・キヨック・ヒウッ」の下部組織を「会社」、下部組織員を「会社員」と呼ぶ陰語を使用していた。
検察によると、2021年に摘発された「自主統一忠北同志会」スパイ事件でも、中心的メンバーは「忠誠を誓う」との趣旨の血書を書き、写真で送っていたという。
盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者