【コラム】米次世代ステルス爆撃機B21登場の衝撃にうろたえる中国(下)

 このように性能が良くなっている一方、1機当たりの価格は6億ドル(現在のレートで約820億円)前後で、B2の20-30%のラインだといいます。米国は100機以上のB21を購入すると表明しましたが、米国の軍事専門家らは、実際に配備される数は170機に達するだろうとみています。これもまた、中国がJ20ステルス戦闘機などで物量攻勢をかけてくることに備えた、「オーダーメード」型の構想と思われます。

 B21によって中国のレーダー網が無力化されたら、中国軍の指揮部や戦略ミサイル発射部隊、主要なレーダー基地などは廃虚と化すでしょう。問題は、誰の仕業なのかも分からないままやられてしまうことです。その後に、世界最強といわれる米国の空母機動部隊がやって来るでしょう。

【動画】米次世代ステルス戦略爆撃機「B21レイダー」

■電子戦も可能な「総合戦闘プラットフォーム」

 B21は、先端コンピューターネットワークを備えているという点でも、前の世代の戦略爆撃機とは差別化されています。クラウドコンピューティングを通して米軍の戦争指揮システムにアクセスし、リアルタイムで情報をやりとりしながら作戦を遂行することが可能だといいます。ひとたび命令を受けたらそのまま目的地まで飛んでいき、爆弾を投下して戻ってくるB2爆撃機とは根本的に違います。

 運用システムも開放型なので、ウィンドウズのOSをアップデートするように随時新たな機能を追加できるといいます。

 爆撃機に搭載された電子戦装備やハッキング装備で相手国のレーダー網をかく乱することができ、敵国の戦略施設を捕捉する先端レーダー装置も備えているといいます。単なる爆撃機ではなく、早期警戒機、電子戦機の機能まで兼ね備えた「総合戦闘プラットフォーム」と言えます。こうなると、戦争の様相は完全に変わるでしょう。

 エンジンの性能も、ロシアや中国の爆撃機が到底追随できないレベルだといいます。

■「中国のレーダー網で捉えられるか」

 専門家らによってこうした分析が伝えられ、中国国内は嘆息であふれています。「人民解放軍が開発しているH20戦略爆撃機は一体いつ出てくるのか」「中国のレーダー網で捉えられるのか」などといったコメントが数多く書き込まれましたね。

 H20戦略爆撃機は、中国が2018年から開発中のステルス戦略爆撃機です。ベンチマーキングの対象はB21の前身、B2です。おそらく、中国としてはもどかしいでしょう。一生懸命B2をまねしてH20を作っているところに、それをはるかに上回るB21が出てきてしまったんですから。

 B21は、早ければ2026年ごろ実戦配備されるといいます。作戦半径は4000キロ程度という点を考慮すると、グアム、沖縄、烏山などが配備候補地になる可能性が高いです。配備後は、中国の防空網とB21の間で追いつ追われつの熾烈(しれつ)な追撃戦が繰り広げられるでしょう。

 米国がB21公開を通して狙ったのは、圧倒的な威力で中国の台湾侵攻の意志を事前にそいでしまいたいというものでした。「戦わずして勝つ」というわけです。これまでJ20ステルス機開発、大型駆逐艦建造などで熱心に追撃してきた中国がどのような対応カードを切るのか、気になります。

崔有植(チェ・ユシク)東北アジア研究所長

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