日本で年に400件の親族殺人が発生…彼らはなぜ家族を殺したのか

日本で年に400件の親族殺人が発生…彼らはなぜ家族を殺したのか

【新刊】石井光太著、キム・ヒョンウク訳『家族の重み』(ヒューマニスト刊)

 「私…私は熊沢といいます…。息子を殺したので、自首しようと思います…」。2019年6月1日、警視庁に緊急通報の電話がかかってきた。声の主は、農林水産省事務次官を務めたこともある元官僚の熊沢英昭(当時76歳)。大学を中退してから隠遁(いんとん)型の引きこもりだった40代の息子は、事件当日、小学校の運動会の声がうるさいとして「大きな事件を起こしてやる」と言った。息子は母親に暴力を振るい、娘は兄がいるせいで縁談がまとまらず、自ら命を絶った。一生を国政にささげた父は、ついにその日、凶器を手にした。

 精神疾患、高齢者介護、貧困…こうした理由で、日本では年におよそ400件の親族間殺人が起きている。家族を殺した7件の事件をルポ形式でつづった本書は、家長、生計扶養者、介護者としての責任に押しつぶされ、徐々に日常が崩壊していく人々を描き出す。なぜそんな選択をするしかなかったのだろうか。22歳の青年の介護殺人、「水原母子3人事件」など、このところ韓国でも家族殺人が相次いでいる中、本書はまさに韓国の話として読める。336ページ、1万8000ウォン(約1900円)。原題は『近親殺人』。

ユン・サンジン記者

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