北朝鮮人権決議案が18年連続で国連総会で採択された。国連総会は15日(現地時間)に米ニューヨークの国連本部で本会議を開き、北朝鮮人権決議案を採決なしのコンセンサスで採択した。コンセンサスという合意方式は採決ではなく反対票もないため、北朝鮮、中国、ロシアなどは異議を唱えられなかった。
この結果、北朝鮮人権決議案は2005年から毎年国連総会で採択され、とりわけ反対が1票もないコンセンサスで採択されるのは2012年、13年、16-21年に続き今回が9回目となる。それだけ北朝鮮の人権問題に対する国際社会の認識が悪化していることを意味する。韓国は2018年まで共同提案国だったが、文在寅(ムン・ジェイン)前政権の2019-21年は南北関係発展に支障が出るとの理由で提案国に加わらなかった。今回は4年ぶりに復帰した形だ。
今回の決議案は例年の内容に北朝鮮による韓国公務員殺害事件や脱北漁師強制送還事件など最近国際的に問題となっている事件も新たに追加された。決議案は「外国人に対する拷問、即決処刑、恣意的な拘禁、拉致などを懸念する」という従来の条項に加え「遺族と関係機関に全ての関連情報を公開するよう北朝鮮に求める」との内容も含まれている。これは北朝鮮軍に殺害された韓国海洋水産部(省に相当)職員のイ・デジュンさんの遺族を意味するとみられる。また「北朝鮮に送還された北朝鮮住民が強制的な失踪、恣意的な処刑、拷問、不当な待遇の対象となってはならない」との文言は2019年の脱北漁師強制送還に言及したもののようだ。
これに加えて決議案は北朝鮮における女性差別と家庭内暴力の悪化も指摘している。さらにワクチンや治療薬がない北朝鮮のコロナの現状を考慮し、人権を取り扱う国際機関が北朝鮮で支援できるよう求める内容も含まれている。今回の決議案も国連安全保障理事会に北朝鮮人権問題の国際刑事裁判所(ICC)への回付を求めると同時に、「人権侵害に最も責任があると考えられる人物」への追加制裁を検討するよう勧告した。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長を念頭に置いたとみられるこの文言は2014年から9年連続で決議案に記載されている。
今回の決議案が採択される前に国連駐在の金星(キム・ソン)北朝鮮大使は発言を求め「決議案は米国とその従属国会による政略的な挑発だ」「そのような人権侵害行為は北朝鮮に存在しない」と主張した。
ニューヨーク=鄭始幸(チョン・シヘン)特派員