未確認情報がどこかから流れればいわゆる「サイバーレッカー車」が付いて回り、疑惑があっという間に雪だるま式に大きくなる。事故車をけん引するレッカー車のように、ユーチューバーがさまざまな疑惑を組み立てた動画やコンテンツを製作し、再生数を稼ぐことを意味する。民主党の李洛淵(イ・ナギョン)元代表が過去にベトナムを訪れた際、ホー・チ・ミン主席の旧邸で「主席様」という呼称を使って記した芳名録が、サイバーレッカー車によるつぎはぎによって「金日成(キム・イルソン)主席」に対し書いた文言に化けたこともある。
政界がフェイクニュースを断ち切ることができない理由については、「フェイクニュースほど短時間で大きな効果を得られるものはないためだ」との説がある。今月7日にはインターネット上で尹大統領夫人の金建希(キム・ゴンヒ)氏がピンク色のスリッパを履いたまま、ベトナム国家主席と懇談する写真が急速に広がり、金建希氏の「無礼」を非難するコメントがあふれた。しかし、実際の懇談は室内で行われ、尹大統領とベトナム国家主席もスリッパ状の上履きを履いていたことが判明した。大統領室関係者は「同時に配布された他の写真を見れば、金建希氏だけがスリッパを履いたわけではないということは一目で分かった」とし、「意図的なフェイクニュースだ」と指摘した。2018年、米マサチューセッツ工科大の研究陣は「フェイクニュースは真実よりも6倍速く、深く広がる」という研究結果を「サイエンス」誌を通じて発表している。
最近フェイクニュースと指摘された事例にはほとんど「情報提供者」が登場する。清潭洞酒席疑惑ではチェロ奏者と元交際相手の男性、梨泰院事故計画説では現場にいたという目撃者だ。情報提供者がいるという理由で検証もなしに政治的に活用し、再びフェイクニュースとして再生産、拡散される。鮮文大の黄懃(ファン・グン)教授は「政界とフェイクニュースメディアが互いをあおり、ネタを提供しながらフェイクニュースを拡大している。こうした不道徳な共生を断ち切ることが急務だ」と話した。
朴相ギ(パク・サンギ)記者