米国・ロシアが運用している国際宇宙ステーション(ISS)に続いて中国が今年、宇宙ステーション「天宮」を完成させた。こうした中で日本の民間企業が「商業用宇宙ステーションを作る」と宣言した。ISSが退役する2030年を見据えて、宇宙ステーション構築競争が熱を帯びる見込みだ。
日本の宇宙関連企業デジタルブラスト(DigitalBlast)は今月12日、宇宙飛行士の居住施設や科学実験施設などを備えた「民間宇宙ステーション(CSS)」を、高度400-500キロの地球低軌道(LEO)上で運用すると発表した。ポストISS時代をにらんで、2030年には一つ目のモジュールを打ち上げる計画だ。日本の宇宙ステーションは、モジュール3種類を結合した形態になる。乗組員の居住施設や通信装置などを備えた「居住・コアモジュール」、採掘資源や農作物に関する科学実験のための「サイエンスモジュール」、地上のユーザーに仮想現実(VR)サービスを提供する「エンタメモジュール」という三つのモジュールで宇宙ステーションを構築するという。費用は総額で3000億円から5000億円かかると推算されている。またデジタルブラストは、宇宙で3Dプリンターを活用してものづくりをするISM(In-Space Manufacturing. 宇宙空間での製造)も実現する計画だと発表した。さらに、地上から宇宙ステーションを活用してVRまたはメタバース(コンピューター中の3次元仮想空間)を楽しめるように、商業用サービスをオープンするという構想もある。
ロケットや宇宙船とは異なり、宇宙ステーションは宇宙に常駐する構造物なので、構築にかかる時間だけでなく運用費用も並みではない。それでも宇宙先進各国が宇宙ステーションを積極的に推進するのは、今後繰り広げられるであろう宇宙資源の先取り競争に備えようという布石だ。月軌道飛行を終えて今月11日に地球へ安全に戻って来たオリオン宇宙船は、米航空宇宙局(NASA)のアルテミス・プロジェクト第1段階の成功を意味する。第2段階は2024年に有人宇宙船で月軌道を往還し、2025年の第3段階では月を周回する宇宙ステーション「ゲートウエー(Gateway)」を完成させる計画だ。
観光や商業など宇宙ステーションの商業的活用を見越した民間企業の参入も相次いでいる。米国の宇宙企業アクシオム・スペースは、早ければ2027年から宇宙ステーションを独自に運用する計画だ。これに先立ち、2024年に商業用宇宙ステーション「アクシオム・ステーション」をISSにドッキングさせ、宇宙スタジオも結合したいと表明した。宇宙に設置する世界初のエンターテインメントスタジオ、多目的公演場を披露したい-というわけだ。アマゾンを創業したジェフ・ベゾスの宇宙企業ブルー・オリジンは、宇宙ステーション「オービタル・リーフ(Orbital Reef)」を2020年代末までに建造する計画を打ち出した。ロッキード・マーチンは、科学実験や産業関連の製造空間として活用できる宇宙ステーション「スターラボ(Starlab)」を2027年に運用する計画を進めている。宇宙ステーションの構築に乗り出した各社は、地球から宇宙ステーションに人や貨物を乗せて運ぶ宇宙船も開発中だ。ボーイングは今年5月、国際宇宙ステーションのモジュールに輸送用宇宙船をドッキングさせることに成功した。これに先立ちスペースXのクルー・ドラゴンは、人員を宇宙ステーションに送り込むことに成功した。宇宙ステーションに行き来する宇宙タクシー競争が早くも始まっているのだ。
郭守根(クァク・スグン)記者