【12月14日付社説】フェイクニュースで稼ぐ人、うそと知りつつ支持する人

【12月14日付社説】フェイクニュースで稼ぐ人、うそと知りつつ支持する人

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と韓東勲(ハン・ドンフン)法務部長官が弁護士らと未明まで飲酒したという、いわゆる「清潭洞酒席疑惑」は、フェイクニュースと判明した。一方で、この疑惑を提起した、革新系最大野党「共に民主党」所属の金宜謙(キム・ウィギョム)議員と動画サイト「ユーチューブ」のチャンネル「ザ・探査」は、多額の後援金を得たことが明らかになった。金議員は今月9日、国会議員の後援金募金の年間限度額である1億5000万ウォン(現在のレートで約1560万円。以下同じ)に達したと明かした。昨年、金議員が集めた額はおよそ9900万ウォン(約1030万円)で、議員平均(およそ1億3600万ウォン=約1410万円)に届かなかった。そんな金宜謙議員と今回のフェイクニュースを「協業」させた「ザ・探査」側も、疑惑の提起以降、ユーチューブの視聴者から配信中に直接お金を受け取る投げ銭機能「スーパーチャット(スパチャ)」による収益が大幅に伸びたという。スパチャ・ランキング・サイトによると、1日2000万ウォン(約210万円)を超える収益を上げて、韓国のチャンネルの中でトップに立った日もあった。フェイクニュースを作ってばらまいたら、逆にたくさんカネを稼げたというわけだ。

 これは、フェイクニュースを信じてくれる大衆がいるからできる。うそを信じているというより、後押ししてやる人々だ。フェイクニュースを作る人の目的は、権力でないとしたらカネだ。狂牛病、哨戒艦「天安」、セウォル号、THAAD(高高度防衛ミサイル)電磁波デマなどは、いずれも特定の勢力が政略的に作り出し、ばらまいた。支持者に名分を与えて結集させ、自分たちはそれでもうけを得るのだ。人々は、自分の信念と一致する情報は友好的に受け入れ、一致しない情報は価値をおとしめたり、否定したりする傾向があるという。実際、そういう実験結果もある。先の韓国大統領選挙の直前、「いわゆる大庄洞開発疑惑は李在明(イ・ジェミョン)ではなく尹錫悦(ユン・ソンニョル)ゲートだ」と答えた人が実に40%に迫ったのも一例だ。

 こうした支持者にとって、事実かどうかは重要ではない。自分たちの信じたいニュースがうそだと判明しても受け入れない。このことを、フェイクニュース生産者はよく知っている。金宜謙議員は、駐韓EU(欧州連合)大使が発言してもいない内容を流布したことについては謝罪したが、清潭洞酒席疑惑のフェイクニュースについてはいまだに謝罪していない。EU大使に謝罪しても支持者は怒らないが、清潭洞フェイクニュースで謝罪したら支持者の非難を浴びるだろう。政治の二極化を助長して、あべこべに極端化した支持者のファンダム(熱心なファンの世界)の中に閉じ込められた。今回は清潭洞フェイクニュースが問題になったが、保守系与党「国民の力」支持層の間に出回るフェイクニュースも少なくない。

 フェイクニュースは政治の低質化、二極化を深刻化させ、社会統合を害する悪性腫瘍のような存在だ。フェイクニュースの生産者に対する処罰と、ポータルやSNS(交流サイト)など流布チャンネルの責任を強化しなければならない。司法機関もこの問題を深刻に考えるべきだ。

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