安保3文書には「反撃能力の行使は憲法と国際法の範囲内で、専守防衛を堅持」との記載もあるが、事実上の先制攻撃概念が含まれていることから、日本のリベラル陣営などからは「違憲」との指摘も出ている。日本の国内外では一連の変化について「憲法9条を改正し自衛隊を憲法に明記するための前段階」とする見方もある。
防衛戦略の見直しで必要となる巨額の財源を確保する計画も提示された。安保3文書は「今後5年間の防衛費総額」について現在の25兆9000億円(過去5年の防衛費総額)よりもはるかに多い43兆円という額が明記されている。年間の防衛費を毎年約1兆円増額し、2027年には11兆円前後にまで増やす計画だ。今年度の防衛予算(5兆4000億円)の2倍だ。これにより日本は2027年にはインド、ドイツ、英国を抜いて米国と中国に続く世界3位の防衛費を支出する国となる。増加分の17兆円はほとんどが攻撃用兵器の確保に使われる可能性が高い。
敵国と友好国も以前に比べてはるかに明確に区分した。中国、北朝鮮、ロシアを仮想敵国に、米国、韓国、台湾を協力国・地域としている。改定案は中国について「日本と国際社会にとって深刻な懸念」とし「わが国の総合的な国力と同盟国・同志国等との連携により対応すべき、これまでにない最大の戦略的な挑戦」と明記した。2013年と18年の「わが国を含む国際社会の懸念事項」という記述とは次元が異なる表現だ。
北朝鮮は「従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威」、ロシアは中国との戦略的連携強化の動きから「安全保障上の強い懸念」と指摘した。韓国についての記述に変更はなく「地政学的にも日本の安全保障にとっても極めて重要な隣国」とする見通しで、台湾は「基本的な価値観を共有する極めて重要なパートナー、大切な友人」とした。日本のある軍事専門家は「最近防衛省の官僚に会うと誰もがクリスマスのプレゼントを受け取ったような雰囲気だ」「自衛隊は今後入ってくる巨額の予算で戦力増強という宿願を一つずつ推進するだろう」とコメントした。
東京=成好哲(ソン・ホチョル)特派員