来年初めに発令される全国の地方裁判所長人事を控え、韓国司法機関が内紛に陥った。「人事ポピュリズム」論争にさらされる「裁判所長候補推薦制」を全面実施(仁川地裁を除く)しようとする金明洙(キム・ミョンス)大法院長に対し、一線の裁判官らは5日、全国裁判官代表会議で公に問題提起を行った。裁判所長人事制度をめぐり、大法院と判事が衝突するのは前例がない。
全国の判事による職級別代表で構成する裁判官代表会議は同日、定期会議を開き、「裁判所長候補推薦制」の問題点を集中的に議論した。これは裁判官代表会議人事制度改善分科委員会が「金大法院長が恣意(しい)的に裁判所長人事権を行使している」とし、大法院に立場表明を要求したことに伴うものだ。
人事制度分科委員長を務めるソウル西部地裁の李永薫(イ・ヨンフン)部長判事は「司法の信頼に全く役立たない制度の拡大に対し、金大法院長は直接立場を表明すべきだ」と要求したという。また、「この制度を維持すべきかどうか議論する必要がある」との意見も示されたもようだ。ただ、「裁判所長推薦制で司法行政が前向きに変わったのではないか」と主張する判事も少なくなかったという。
結局今回の会議で裁判所長推薦制の存廃問題は扱われなかった。その代わりに「大法院長が各級裁判所の裁判所長推薦結果を尊重する」という決議を賛成59人、反対26人(棄権6人)で採択し、金大法院長に伝えることを決めた。「大法院は首席部長判事が推薦投票で有利な地位にある問題を解決するため、最善の措置を取る」との決議は賛成43人、反対44人(棄権6人)で否決された。
これについて、裁判所内部からは司法ポピュリズムと「裁判遅延」の弊害を生んだ裁判所長推薦制を放置した中途半端な結論だと指摘する声がある。大法院は来年初めまでに全国21の地方裁判所のうち14カ所程度で裁判所長を交代させる構えだ。一線裁判所の部長判事は「今後、裁判所長推薦制の制度的問題点と金大法院長の『恣意的な人事圧力』をめぐる論争が再び重なり、衝突がさらに激化する恐れがある」と懸念した。
梁銀京(ヤン・ウンギョン)記者、兪鍾軒(ユ・ジョンホン)記者