韓国で永住資格を持つ外国国籍者に地方選挙の投票権を認めている現行の選挙制度について、韓国法務部(省に相当)の韓東勲(ハン・ドンフン)長官が制度見直しの必要性に言及した。
法曹界の関係者などが2日に明らかにしたところによると、韓長官は前日行われた記者団の取材に「米国、フランス、カナダなどでは永住権者の投票権に厳格な条件を要求している」とした上で「韓国国民は永住権があってもその国で投票権を持てないのに、その国の国民は韓国で投票権を持つような状況が生じかねない」「相互主義の原則を考慮しない外国人への投票権付与は民意を歪曲(わいきょく)する恐れがある」と指摘したという。
現行法は永住ビザ(F5)取得後3年が過ぎた18歳以上の外国人に地方選挙の投票権を認めている。韓長官は「居住義務の要件がない永住権を一度取得すれば、韓国で生活せず自国に戻っても韓国の地方選挙で投票権を持つことになる」「このような不合理を解消するため、永住権を維持する要件に居住義務の期間を導入するなど慎重に検討している」と述べた。
現在、永住権者は10年ごとに永住権を更新すれば良く、韓国国内の居住義務はない。そのため永住権取得後は海外に住み、韓国の地方選挙直前に帰国し選挙権だけを行使できる。韓長官は「外国人の入国に柔軟性を持たせないという趣旨ではなく、間違った制度を正すという次元だ」と説明した。
これと関連して2020年に青瓦台国民請願掲示板には「中国人永住権者から地方選挙投票権を剥奪すべきだ」との書き込みがあり、21万人以上がこれに賛同した。この請願人は「選挙権を持つ外国人の80%が中国人と聞いた」とした上で「外国人を尊重しており差別はしないが、選挙権は大韓民国国民の固有の権限だ」と主張した。これに対して文在寅前政権は「民主主義の普遍性を具現するという趣旨」と説明した。今年3月時点で地方選挙の投票権を持つ外国人は12万6668人で、うち9万9969人(78.9%)が中国国籍だという。
ソン・ウォンヒョン記者