若い層が簡単に利用できるモバイル・カウンセリングアプリが多数存在することも、カウンセリングに至る進入障壁を低める要因となった。アプリを通したカウンセリングの価格は1回(1時間)6万ウォン(約6200円)から7万ウォン(約7300円)という水準で、オフラインのカウンセリングより相対的に安い。実際のカウンセリングはテキストや音声、画像を通して行われるという。ソウル市江西区在住の社会人キムさん(29)は今年8月、カウンセリングアプリを通して会ったカウンセラーに、家族間の対立問題について1時間ほど相談に乗ってもらった。キムさんは「別に時間を取って相談センターに行かなくてもいいし、カウンセラーの記録をきちんと読んで気に入った方を選べるのも利点だった」と語った。
最近では企業も、若い従業員のためにメンタルヘルスの保護に関する福祉制度を導入する傾向にある。実際、韓国国内のある大手会計法人は、今年の初めから従業員に瞑想(めいそう)アプリの利用クーポンやヨガクラス、カウンセリングサービスなどを無料で提供している。主な学校ごとに用意された校内心理相談センターも生徒で混み合い、数カ月先まで予約が埋まっているケースも多い。ソウルのある大学院に在学しているイムさん(27)は、長期にわたり就職準備をする中でうつと不眠の症状が生じた。昨年10月から大学の心理相談センターで毎週カウンセリングを受けている。イムさんは「最初は助けになるのか疑っていたけど、不眠症も消えて生活リズムも回復する効果があった」と語った。
一部では、多くの人がカウンセリングなどを通して心の健康を保つ必要が増大したにもかかわらず、費用の問題で「富める者はますます富み、貧しき者はまずます貧する」現象が現れている、と懸念する。大学病院の精神健康医学科や私設の相談センターの正式なカウンセリング料金は、1回につき平均10万ウォン程度が相場で、大学生や低所得層などは依然としてカウンセリングサービスの死角地帯に置かれているのだ。相対的に費用の安いモバイルアプリを通した短期のカウンセリングは、効果が十分でないという指摘も多い。
ソウル大学心理学科の郭錦珠(クァク・クムジュ)教授は「質の良いカウンセリングを受けようと思ったら、費用がある程度高めに形成されるのは避けられないが、カウンセリングに対する公的補助を強化する必要がある」として「就職準備生や社会人1年生など、環境の変化に直面している人々のためのライフサイクル別のカウンセリングプログラムを、国の主導で拡充することも一つの案」と語った。
キム・スンヒョン記者、ユ・ジェイン記者