韓国防衛産業による大規模輸出に焦る米業界「ポーランドにとどまらないのでは」

　米政治専門メディアのポリティコは1日、韓国が欧州で大規模な軍備輸出契約を相次いで結び、米国防衛産業が焦っていると報じた。新兵器を購入する際、通常は米国を訪れていた東欧諸国が、さらに安価でより速やかに兵器を納入できると主張する韓国との契約を検討しているとの指摘だ。

【動画】ポーランドに輸出される韓国製多連装ロケット砲「天舞」

　特にポーランドが韓国製の戦車「K2」980台、自走砲「K9」672門、軽攻撃機「FA－50」48機の購入を決めたことが波紋を広げており、契約規模と納期の早さが米業界の注目を集めているという。ポリティコは「韓国の防衛産業業界は長期にわたり欧州で活動し、曲射砲と小火器などを多くの国に売った。だが、そうした契約はポーランドが7月以降、2社と結んだ契約に比べれば大したことではない」と指摘。ポーランドが今年10月、ハンファディフェンスと多連装ロケット砲「天舞」288門の導入契約を結んだ当時のエピソードを紹介した。

　当初ポーランドは米国製の高機動ロケット砲システム（HIMARS）500門を購入しようとした。しかし、米国側がポーランドが望むスケジュールに合わせるのは困難だと言うと、韓国に傾いた。ポーランドのマリウシュ・ブワシュチャク副首相兼国防相は10月19日、天舞の契約式で「不幸にも産業能力が限られており、満足できる期間内にその装備（HIMARS）の納入を受けることが不可能だった。それで我々は『検証されたパートナー』である韓国と協議を始めた」と公に発言した。

　米防衛産業関係者はポリティコに対し、「こうした事態がポーランドだけにとどまらないという懸念がある。これは純粋に韓国のマーケティング攻勢だ。韓国が約束通りに迅速に武器を納入できるかどうかは検証されていない」と述べた。また、別の業界関係者は「米国と欧州各国の間には簡単には引き裂けない長い関係がある。韓国製の輸出はまだ（米国の）主な懸念材料ではない」と話した。

　それでもポリティコは「韓国が抱く大きな野心を黙殺することはできない」と結論づけた。尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領が8月、韓国を「4大防衛産業輸出国」にすると公言しているほか、ポーランドと契約した兵器が予定通りに引き渡されれば、他国も韓国と接触するようになるという見方だ。実際にノルウェーは戦車「K2」の購入を考慮しているとされる。

　米シンクタンク戦略国際問題研究所（CSIS）のマックス・バーガーマン欧州局長は「（米国の同盟である）欧州とアジアの間により大きな連携が生じるのは好ましいことだ。米防衛業界のシェアがやや低下することはあっても、米国のより大きな国家安全保障の観点から見れば、欧州が自前の防衛産業能力を失ってしまったことが真の問題だ」と述べた。多くの欧州軍需メーカーが内需よりも輸出に集中し、欧州が独自に武器を調達する能力が低下したことを懸念したものだ。

ワシントン＝金真明（キム・ジンミョン）特派員