「中国経済、米国超えは困難」…覆される「米中経済逆転論」(上)

■成長鈍化に人口も減少

 西側でそうした否定的観測が示される最大の理由は、中国の成長率が最近急激に鈍化している点だ。中国は昨年第4四半期の成長率が4%にとどまり、同じ時期の米国の成長率(6.9%)を大幅に下回った。今年初めに財政を総動員したインフラ投資で成長率を4.8%まで押し上げたが、第2四半期は上海・深センの都市封鎖など無理なゼロコロナ政策に固執。成長率は0.4%にまで急落した。上半期全体では2.5%にとどまり、今年の成長率目標(5.5%)の達成は事実上不可能になった。世界銀行などは中国の今年の成長率が3%にも及ばないと予想している。

 これまで西側のシンクタンクは、30年前後に中国が経済規模で米国を上回ると予想してきた。それは中国が年平均5%前後の成長を持続し、米国の成長率が年平均2%以下にとどまるという前提に基づいていた。しかし、中国の今年の成長率が大幅に低下し、そうした見通しが変化している。

 長期的に見てより大きな要因は人口減少だ。中国は12年から生産年齢人口(15-65歳)が減り始め、今年からは全体の人口減少も本格化する見通しだ。来年にはインドに世界1位の人口大国の座を明け渡すとも予想されている。一方で、高齢化は急速に進み、33年には65歳以上の人口が全人口の20%を超える超高齢社会を迎えるとの分析が示されている。ローウィ研究所は「1980年代の厳しい一人っ子政策で中国は深刻な少子高齢化に苦しんでおり、生産年齢人口が減り続けている」とし、「こうした傾向を覆す政策手段も限られている」と指摘した。外交専門メディア「フォーリンポリシー」のコラムニスト、ハワード・フレンチ氏は7月のコラムで、「中国はここ数年間で生産性の向上ペースが大きく落ち、不足する生産性を後押ししてきた労働人口まで減少している。沈む中国が米国を追い越すことはないだろう」との見方を示した。

崔有植(チェ・ユシク)東北アジア研究所長

【表】米国・中国・日本の国内総生産(GDP)推移

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