韓国戦闘機がグアムで米戦術核投下訓練、半島有事の際出撃も検討

「実質的核共有」について何が議論されたか

 これらの低威力核兵器が韓半島周辺に事実上常時配備された場合、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は「有事に米国は実際に核兵器を使うかもしれない」という恐怖を感じ、核挑発を思いとどまる可能性があるとの見方もある。核共有を通じた「恐怖のバランス」で北朝鮮に対する核抑止力を強化するということだ。

 これと同時にF35K、F15KなどB61-12戦術核爆弾を投下できる韓国空軍の戦闘機をグアムやハワイなどに派遣し、核投下訓練を行うことも核共有の一つの策として浮上している。有事に韓国空軍の戦闘機が米軍と息を合わせ戦術核爆弾を積んで投下できれば、韓米間の核共有効果を今以上に高められるからだ。

 NATO(北大西洋条約機構)式の核共有はNATO加盟5カ国(ドイツ、イタリア、オランド、ベルギー、トルコ)にB61核爆弾150-200発を配備し、有事に米国と共同で運用するというものだが、尹錫悦政権が検討中の「韓国型核共有」はこのNATO式核共有とは異なる。韓国領土の中に戦術核を再配備しない状態でNATO式核共有と同じ効果が得られる方策を見いだすことが尹錫悦政権の構想だ。核には核で対抗するしかないが、韓国が現実的に核抑止力を強化できる方法は限られているからだ。

 独自の核武装は国際社会からの制裁の対象となる。韓国大統領室のある幹部も「検討していない」と明言した。最近は一部で「韓国国内の戦術核再配備」を主張する声もあるが、米国政府の否定的な考えに変わりはないようだ。周辺国の反発や北朝鮮の誤った判断、連鎖核武装などを誘発しかねず、また韓国国内で国論が分裂する恐れもある。だからこそ「韓国型核共有」と米国の戦略資産常時配備などを検討するということだ。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者、崔慶韻(チェ・ギョンウン)記者

【図】「実質的核共有」の概念とは

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