文政権時代の韓国軍当局は、国会国防委員会がこの件に関連する指摘を何度も行ったにもかかわらず、実弾確保のための努力をきちんと行わなかったことが把握された。防衛事業庁と韓国空軍の資料によると、防衛事業庁は2015年12月、F35Aの機関砲に使用する25ミリ弾の購入契約を米軍と交わした。その時点は米国の認証が下りず、演習弾のみの契約だったが、2018年に許可が下りたことで実弾の購入も可能な状態になった。その後、国会国防委を含む韓国軍内外で、F35Aの実弾購入を急ぎ、実弾・演習弾での射撃訓練を実施してF35Aの戦闘能力を正常な軌道に乗せるべきだという声が強まった。F35Aは敵のレーダーによる探知を避けられるステルス機能を備え、主に中距離での攻撃用に投入されるが、敵陣深くの場所で作戦が行われる場合、敵機と近接交戦する可能性も高まり、このとき機関砲の射撃が必須になることもあり得る。実際、韓国空軍は2015年、F35Aを配備する過程で機関砲の実射撃能力を点検し、射撃訓練の映像を公開したこともあった。ところが、そのF35Aを4年かけて40機全て配備しておきながら、肝心の機関砲の実弾は1発も確保していないのだ。韓国空軍の関係者は11日、本紙の電話取材に対して「機関砲の実弾保有のため努力はしたが、実弾の調達問題など幾つかの理由でまだ確保できていないらしい」と語った。
韓国軍内外では「文在寅政権の対北政策がF35Aの運用に影響を与えた側面がある」という声が上がっている。F35Aは、北朝鮮の指揮部および核・ミサイル施設を奇襲攻撃する能力を備える「キルチェーン」の中心的戦力なので、北朝鮮の顔色をうかがっていた文在寅政権時代においては政策の優先順位が低かったというのだ。F35Aは、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が最も恐れる兵器にも挙げられる。文政権はF35Aの配備イベントをきちんと執り行わなかった。
韓国空軍のF35Aは、正常に作戦を開始した昨年から今年上半期までの間、飛行不能状態(G-NORS)、特定任務不能状態(F-NORS)など各種の故障判定だけでも計234件あったことが分かっている。対北「キルチェーン」の中心的戦力にもかかわらず、F35Aを戦力化する過去4年の「ゴールデンタイム」のうち相当期間は、実弾なし、頻繁な故障などのせいできちんと運用できなかったのだ。シン・ウォンシク議員は「韓国軍当局は今からでもF35Aが正常な態勢を備えられるように、過去4年間で何が問題だったのか、実態の把握を行って速やかに対策を整えるべき」と語った。
盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者