文前大統領が「直接取り組む」と言ったセマングム風力発電の事業権、中国系企業への売却話が進んでいた

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)前大統領がかつて「直接取り組む」と言った全羅北道沖のセマングム再生可能エネルギー事業の一部事業権が中国などの外資系企業に売却されつつあることが4日までに確認された。国家基幹産業であり国民の税金で運営される発電事業権が脱法的に中国系企業の手に渡ることに懸念の声が上がっている。その過程で全北大学教授が内部情報を利用して収益を得たという疑惑も指摘された。

【図】ザ・ジオディとチョド風力発電の事業関係図

 朴洙ヨン(パク・スヨン)国会議員事務所によると、セマングム4号防潮堤のうち約8万坪の海上風力事業権を持つ特別目的会社(SPC)「ザ・ジオディ」は最近、タイ系企業「チョド風力発電」に事業権を譲渡するため、計5000万ドル(約72億円)規模の株式売買契約を締結した。

 チョド風力発電の親会社は「レナ」で、その代表は中国国営企業である国家能源集団(チャイナ・エナジー・グループ)の韓国支社長が務めている。セマングム海上風力発電事業の一部事業権が中国系企業の手に渡りかねない状況だ。

 文前大統領は2017年5月31日、群山セマングム新侍広場で開かれた第22回海の日記念式に出席し、「全羅北道の友人になるという約束を必ず守る」とし、「(今回新設した青瓦台政策室が中心となり(セマングム事業に)直接取り組む」と述べた。

 問題の契約でザ・ジオディは資本金の7400倍を越える利益を得るとみられる。朴議員事務所によると、同社株式の84%は全北大のA教授一族が保有しているという。

 A教授は全北科学技術院長と知識経済部海上風力推進団で活動し、セマングム海上風力技術サービスを担当した経緯がある。A教授は大統領直属の国家均衡発展委員会会合や共に民主党の新再生エネルギー特別委員会の討論などで「海上風力発電の付加価値は大きい」「許認可の簡素化が必要だ」と述べるなど海上風力発電の重要性を強調してきた。A教授が内部情報を利用して事業権を獲得し、スムーズに許認可を受けたのではないかと疑われるのはそのためだ。

 A教授一族が持つ事業権は25年間で、年平均192ギガワット時の海上風力発電を行える権利だ。電気事業法によって、韓国電力公社は再生可能エネルギー発電事業者が発電した電力を購入しなければならない。会計法人が試算した予想収入は約1兆2000億ウォン(約1220億円)だ。事業権が完全に譲渡された場合、年間少なくとも500億ウォンの電気料金が中国系企業に流出する計算になる。それ以外に、レナは韓国国内で約1.6ギガワットの太陽光・風力発電を推進している。

 朴議員は「文在寅政権が再生可能エネルギー事業を拙速に推進し、エネルギー安全保障にも穴が生じている」とした上で、「技術サービスまで担当した国立大教授が事業権を獲得し、株式売却契約まで結ぶ一連の過程は公務員がやってはならないことだ。産業通商資源部と電気委員会が徹底した管理・監督を行い、全国的に類似したケースがないかどうかチェックすべきだ」と指摘した。

李佳泳(イ・ガヨン)記者

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  • ▲セマングム防潮堤の群山方面への入り口付近に2002年から07年に建てられた風力発電設備/朝鮮DB
  • 文前大統領が「直接取り組む」と言ったセマングム風力発電の事業権、中国系企業への売却話が進んでいた

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