韓国公務員射殺事件、書面調査を「無礼」と拒否した文前大統領に遺族「それはこっちが言いたいこと」

 文在寅(ムン・ジェイン)前大統領が監査院からの書面調査を拒否したことについて、2020年に西海で北朝鮮軍に銃殺された故イ・デジュンさん(当時47歳)の妻が「私の方がむしろ『無礼だ』と言いたい」と述べた。

 イ・デジュンさんの妻は3日にTV朝鮮との電話取材に応じ「監査院は最大限の礼儀を尽くして書面調査を求めたはずだが、これを無礼と表現したこと自体が『法の上に君臨したい』ということだ」とした上で上記のように述べた。

 妻は「大統領の地位にあった時に最善を尽くしたと考えているなら答弁すればよいはずだ。しかしこれを避けるのなら、家族としては『何か言えないことがあるのか』と疑ってしまう」「書面調査要求に『無礼』というのは、わたしたちに無礼と表現したのと同じだ」などと述べた。さらに「なぜ本人が自分を最高尊厳と考えているのか分からないが、大統領も国民の求めに応じて働くべきはずだ」「監査院の調査を政治報復と言うことがあまりにも悲惨だ」とも指摘した。

 イ・デジュンさんの兄のイ・レジンさん(57)はこの日フェイスブックに「あきれてものが言えない。前職の大統領に対する礼遇も必要ないだろう」「政治報復などと言う資格があるのか」と非難した。

 イ・レジンさんは「国民の前で反省し自重すべき人間が国民に対して不快だと? 妄言に妄言を重ねている」「国民の代弁者たちが国民の生命と安全を守れなかったのに何を言い出すのか」などとした上で「後ろめたいことがないなら、調査に応じることが正しい行動ではないか」「国民をばかにしているのですか」とも問いただした。

 イ・レジンさんは野党・共に民主党の「尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権政治弾圧対策委員会」が会見を開いたことについて「北朝鮮による西海公務員殺害事件をこれ以上政治的事件としてごまかそうとするな」と非難した。

 イ・レジンさんは「大韓民国国民の一人として、愛する家族の大切な命を軽視し、越北者とレッテル貼りしたことについて事実関係を明確にしてほしいということだ」「大韓民国国民として当然の権利として尋ねている」とした上で「文前大統領の『人間が先』という人間尊重の精神に基づいて回答してほしい」と求めた。

 青瓦台(韓国大統領府)国政状況室長を務めた共に民主党の尹建栄(ユン・ゴンヨン)議員はこの日国会で会見を開き、文前大統領に監査院による書面調査関連の報告を行い、これに対して文前大統領が「非常に無礼なこと」と述べたと伝えた。

 共に民主党の「尹錫悦政権政治弾圧対策委員会」は「尹錫悦政権の狙いは最終的に文前大統領だった」とした上で「刃の先を前任の大統領に向け、韓国社会を政争のるつぼに追い込むつもりだ」と非難した。同委員会はさらに「監査院による監査乱用に対しては職権乱用として告発する」「尹錫悦政権の政治弾圧に対し国民全体に抵抗運動を呼びかける」としている。

 遺族は5日に共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表の選挙区事務所を抗議訪問し、正式に面会を要請する計画だ。また6日には大統領秘書室長だった盧英敏(ノ・ヨンミン)氏、李仁栄(イ・インヨン)統一部(省に相当)長官(いずれも当時)、全賢姫(チョン・ヒョンヒ)国民権益委員長らを職権乱用容疑などで告発した。

 遺族の代理人を務めるキム・ギユン弁護士はチョソン・ドット・コムの取材に「告発された人間たちが逆に監査院を告発するというから、遺族は怒っている」「これを政治弾圧と言うなら、今後野党の国会議員たちはいくら犯罪をしても捜査するなということになる」と指摘した。キム弁護士はさらに「野党議員や大統領経験者だからといって書面調査にあれほど大騒ぎするのであれば、その方がむしろ権威的ではないのか」「監査院はしっかり仕事していると思う」ともコメントした。

イ・ガヨン記者

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲北朝鮮軍に銃殺されたイ・デジュンさんの妻が今年6月17日、ソウル市瑞草区のソウル地方弁護士会弁護士会館での会見で涙を流しながら語った。左はイ・デジュンさんの兄のイ・レジンさん。/聯合ニュース

right

あわせて読みたい