韓国国防部(省に相当)は29日、韓国・米国・日本による海上訓練の日程とその内容が野党議員に流出し、事前に公開されたことについて「極めて遺憾」とコメントした。国防部はこの日声明を出し「韓米日による対潜水艦戦訓練は多くの部分が機密とするよう求められ、発表の時期についてはメディアの協力を得て調整していたが、訓練内容の一部が個人のSNS(交流サイト)を通じて公表された」とした上で上記のようにコメントした。
国防部は韓米日当局で合意した訓練の日程とその内容の一部を担当記者団に伝えたが、訓練開始の日時についてはエンバーゴ(特定時点まで報道を猶予する取り決め)を求めた。記者団も問題の特殊性を考慮しエンバーゴを受け入れることにした。ところが野党・共に民主党の安圭佰(アン・ギュベク)議員が訓練開始を翌日に控えた28日、突然フェイスブックに「懸念が現実となった。今月30日に韓米日の海軍が訓練を実施する」としてその日程や位置などを公開したのだ。訓練が行われる海域が韓国の作戦区域ではなく東海の公海上であったとしても、独島から150キロほどしか離れておらず、日本との訓練は認められないという趣旨だった。
国防部は声明で「今回の訓練は、北朝鮮の核とミサイルの脅威に対応するための韓米日による軍事協力を2017年以前の水準に復元しようとする国防部の措置だ」「過去にも実施されている」と説明した。国防部はさらに「特に潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射能力を持つ北朝鮮潜水艦の探索・識別・追跡能力向上が目的だった」「訓練海域は北朝鮮SLBMの脅威や潜水艦の主要な活動が予想される海域を考慮して定めた」とも明らかにした。
与野党に関係なく国会国防委員が事前に入手した軍事・外交協議の内容を一方的に公開し、これを無力化するケースはほぼ前例がない。韓国軍とその周辺では「安議員は反日感情を刺激して人気を得るために、国防委員の本分から外れた行動をしたのでは」との指摘も出ている。与党・国民の力のシン・ウォンシク議員は「国家間の合意を破れば国への信頼が落ち、国益にもマイナスになる」「何よりも訓練海域が公開されれば対潜水艦戦訓練に致命的な問題が生じる恐れもある」と指摘した。その上で申議員は「外交・安全保障まで事実を歪曲(わいきょく)して親日をあおり、反日扇動の材料にする行動は中止すべきだ」と求めた。
盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者