だがそれ以降、韓国ドラマに対して迷わず投資し続け、韓流拡大の足がかりへと徐々に変ぼうさせていった。事実、ネットフリックスはこれまで韓国コンテンツに1兆ウォン(約1000億円)近く投資しており、海外に紹介した作品も130以上に及ぶ。ネットフリックスのリード・ヘイスティングス最高経営責任者(CEO)も今年7月、「今、韓国を語らずしてエンターテインメントを語るのは不可能だ。韓国のストーリーテラーの物語が世界の人々の楽しみやコミュニティー意識の源泉になっている」と語った。もちろんその裏にはアジア市場で優位に立とうというネットフリックスの戦略がある。ライバル企業であるウォルト・ディズニー・カンパニーのレベッカ・キャンベル国際コンテンツ・オペレーション部門会長も先日、「ディズニーが制作する韓国作品は地域的にも世界的観点からも素晴らしいコンテンツ」「韓国で良い反応があったコンテンツならアジアや世界の観客も共感できるだろう」と話した。
「愛と別れ」のような個人的テーマから「貧富の格差」「不平等」といった社会問題まで、韓国のコンテンツが取り上げるテーマの多様性も、もう一つの成功要因として挙げられている。「韓国と全世界の経済的不平等・道徳性崩壊といった現実的な問題を描いた『イカゲーム』は世界的な現象になった」というニューヨーク・タイムズの分析のように、『パラサイト』と『イカゲーム』の重みのあるテーマ意識と挑発的演出は相次いで話題になった。
1980年代の政治的民主化や1990年代の大衆文化の花盛り時期を経験したポン・ジュノ監督(1969年生まれ)、ファン・ドンヒョク監督(1971年生まれ)と、「BTSの父」と呼ばれているパン・シヒョクHYBE(ハイブ)取締会議長(1972年生まれ)らの世代の登場も韓流が爆発的な人気を呼んだ要因として挙げられている。彼らは1990年代後半の大衆文化開放措置や政府の積極的文化支援という恩恵を受けながら、世界進出の先兵として登場したのだ。また、「中国や日本とは違い、韓国はほかのアジア諸国に侵略的あるいは脅威的に見えない地政学的メリットがある」(英紙ファイナンシャル・タイムズ)という見方もある。
金性鉉(キム・ソンヒョン)記者