教育部は新たに研究陣を立ち上げることもできたが、「政府が教科書の内容に干渉するのか」という指摘が出かねないことが負担だったという。教育課程を作って初めて、それに基づく執筆基準を作り、各出版社が教科書を開発して検定審査を受けられるようになるので、新たな研究陣を立ち上げるには時間的に切迫していたことも問題だ。教育界関係者は「時間も問題だが、朴槿恵(パク・クンヘ)政権時代に教育部が乗り出して国定歴史教科書を作って教育部職員がたびたびたたかれたので、今回は教育部が乗り出すという考えはもともとなかったのだろう」と語った。傍観するほかなかったというわけだ。
教育部北東アジア教育対策チームの担当者は「今回の試案は政策研究陣の研究結果で、今後国民の意見集約を行って、『自由民主主義』『南侵』など社会的に論争の多い部分があれば政策研究陣に再検討を要請し修正していきたい」と明かした。
教育部が今回発表した教育課程試案は、国民の意見集約、外部の専門家で構成した教育課程審議会、国家教育課程改正推進委員会などの審議を経ることになる。教育部は今回初めてインターネットのホームページを開設し、教育課程試案について韓国国民の意見を30日から9月13日まで15日間受け付け、反映させる計画だ。
さらに、今回の教育課程は、教育部が韓国国民の意見を反映して最終案を作るとしても、下半期に発足予定の国家教育委員会(国教委)の審議・意見を経なければならない。国教委は文在寅大統領の選挙公約で、大学入試や教育課程など中長期の教育政策と方向を定める大統領直属機関だ。これにより、教育部が「自由民主主義」など論争のある部分を改めて国教委に提出することもできるが、既存の試案をそのまま国教委に提出した後、国教委で決めることになるだろうとの見方も出ている。国教委は計21人の委員中、委員長を含め5人を大統領が指名するので、現政権の意見が反映される余地は大きい。
朴仁鉉(パク・インヒョン)元大邱教育大学教授は「前政権の息がかかった研究陣の作った教育課程試案が確定したら、それに基づいて執筆される教科書の内容もまた左派偏向することは避けられない」とし「教育部は、論争になる歴史教科書問題から逃げずに、憲法の精神がきちんと反映されるように修正すべき」と語った。
キム・ヨンジュ記者