韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は就任100日目の記者会見で労働改革を強調しながら、「ドイツでは労働改革を行ったところ、社会民主党(SPD)が政権(を主導する立場)を17年間逃したが、ドイツ経済と歴史において非常に意味のある改革を行った」と指摘した。労働改革でドイツ経済を蘇らせたのは、シュレーダー元首相の卓越した業績だ。ところが、今年78歳になるシュレーダー氏は、20年前の業績に対する肯定的な評価をほとんど失い、老後に恥をかいている。ロシアのプーチン大統領との深すぎる友情のせいだ。退任後もさまざまなポストと便宜を与えられ、プーチン大統領を擁護してきた結果、ロシアのウクライナ侵攻で激しい非難を浴びた。元首相に与えられたさまざまな権利はドイツ議会で剥奪される羽目になった。シュレーダー氏の業績だけでなく、過ちが示唆するところも少なくない。
2000年代初め、プーチンとシュレーダーの親交は、正義にあふれる形でスタートした。フランスのシラク大統領も加わり、独仏露首脳が03年の米国のイラク戦争に反対する反戦連帯として活躍した。1999年に首相、2000年に大統領になったプーチンは当時は指導者としての姿を見せた。旧ソ連崩壊後に破綻したロシア経済はプーチン政権下でエネルギー価格の上昇に支えられ回復傾向を示した。そのおかげで支持を得て実権を掌握した。そして民主主義が定着した国の指導者とは別の道を歩んだ。08年の大統領任期を終え、権力を延長するための姑息な手を使った。憲法で大統領の任期が連続2期までに制限されていたため、首相を4年間務めた後で再び大統領になり、憲法改正で終身政権の道を開いた。不正選挙論争、政敵やジャーナリストの暗殺疑惑が絶えない中、ロシアの歴史を後退させ、24年間政権を握っている。この独裁者は旧ソ連の栄光を叫びながら、時々「侵略イベント」で国民を熱狂させる危険なリーダーシップで権力を維持している。
時が経てば人は変わる。権力者はなおさら変わりやすい。国力と指導者によって、国際秩序の勢力バランスも有機体のように変わる。変化を直視し、タイムリーに対応できなかったか、対応能力のない国は国民が悲惨な運命を歩む。22年前にプーチンが大統領に当選した際には、これほど長期政権を獲得し、国際秩序を揺るがすとは誰も予想していなかった。さらに劇的な変化は中国で起きた。