日本が最低賃金の上げ幅を過去最大となる31円とすることを決めた。朝日新聞が1日付で報じた。これにより日本の最低賃金は平均で今の930円から961円に引き上げられることになった。
朝日新聞によると、日本の中央最低賃金審議会(厚生労働省の諮問機関)は全国の平均時給を今よりも3.3%高い961円にすることを決めた。今年の物価上昇率が2%を上回ったことに加え、食料品など庶民物価が特に上昇する傾向にあることから、過去最大の引き上げ幅が正式に決まったのだ。
日本は韓国とは違って地域ごとに最低賃金が異なる。中央最低賃金審議会の決定を受け、今後は各地方自治体の審議会が地域ごとの最低賃金を最終的に決めるが、大きな異変がない限り中央審議会の決定に従うことになる。新しい最低賃金は10月ごろから適用される見通しだ。
引き上げ前の最低賃金を基準にすると、日本では東京が時給1041円で最も高く、続いて東京の隣の神奈川県(1040円)、大阪府(992円)、埼玉県(956円)、愛知県(955円)、千葉県(953円)と続く。大阪を除けばどこも東京から近い地域だ。
これに対して北海道(889円)や奈良県(866円)、山口県(857円)などは低い方に属する。日本で最も時給が安いのは沖縄県(820円)だ。
日本政府は今後最低賃金を毎年3%以上引き上げ、2024年には1000円とする計画を進めている。しかし最低賃金を1000円にまで引き上げたとしても主要国と比べれば非常に低い水準だ。ドイツは最低賃金を今年7月に10.45ユーロ(約1414円)へと6.4%引き上げ、10月からは12ユーロ(約1624円)へと再び14.8%引き上げる。
フランスも今年5月から最低賃金を10.85ユーロ(約1468円)へと2.6%引き上げた。地域ごとに異なる最低賃金を適用する米国ではロサンゼルスが7月から16ドル(約2130円)へと6.9%引き上げた。
日本では過去最大の上げ幅とされているが、韓国の最低賃金上昇のペースには至っていない。韓国は今年6月末に「2023年度の最低賃金」を今年よりも5%高い9620ウォン(約973円)にすることを決めた。昨年の上げ幅も5%に達していた。
ただし日本と韓国の最低賃金は単純比較できない。為替の変動に加え週休手当(韓国で15時間以上働いた場合にもらえる手当)など支払われる条件が異なるからだ。8月2日の為替レートで単純比較すれば、来年の最低賃金は日本は961円となり韓国の9620ウォンよりもやや低い。
日本の最低賃金が主要国はもちろん韓国よりも低くなった影響で、今後は東南アジアなどの労働者誘致が難しくなる見通しだ。日本は人口減少で足りなくなった労働者を海外の労働者で埋め合わせてきた。
第一生命経済研究所は毎年日本で最低賃金で働いた場合に自国よりも何倍の収入が得られるかを示す「出稼ぎ魅力度指数」を公表している。2011年に36.7倍だったベトナムの出稼ぎ魅力度指数は2021年には20.5倍に低下した。11年にベトナム人労働者が日本で最低賃金で働けば自国よりも37倍稼げたが、今は20.5倍にとどまるという意味だ。日本よりも韓国で働く方がより多くの収入が得られることも同時に意味する。
最低賃金の低さは貧富の格差を広げる要因になる。経済協力開発機構(OECD)によると、日本の正規労働者に対する最低賃金労働者の賃金水準はわずか45%だ。フランスは60%、英国は58%だった。欧州連合(EU)はこの数値が60%を下回る場合は「貧困に脆弱(ぜいじゃく)な国」と評価する。
イ・ヨンソン記者