【韓国ジェンダーリポート2022】〈第9回〉
ソウル市内の中小企業に通うAさん(38)は大学時代、女性学の講義を聞いて友達とセミナーを開くほどフェミニズムに関心を持っていた。『フェミニズムの挑戦』『イガリアの娘たち』などの本を読み、1歳下のガールフレンドには自分のことを「オッパ(お兄さん、または親しい年上男性への呼びかけ)」と呼ばせなかった。もしかしたら無意識の上下関係が働くのではないかと恐れ、それがフェミニズムの小さな実践だと信じた。しかし、最近はフェミニズムとは何なのかで混乱している。「フェミニスト大統領」を宣言した文在寅(ムン・ジェイン)政権時に男女の対立が深まり、攻撃的フェミニズムが強まったためだ。「今、広まっているフェミニズムは私が学んだフェミニズムではないようだ」というAさんは「文政権がフェミニズムを自分たちの利益に利用したため、本来の意味を失ってしまった。今は『フェミニズムに関心を持っていた』と話すのは気分のいいことではなくなった」と語った。
1977年に梨花女子大学の学部教養科目として開設されて動き始めた女性学が今、韓国社会のあちこちで受難に見舞われている。ジェンダー対立が続いてフェミニズムに対する否定的な認識が高まり、男女ともに疲れを感じているのだ。朝鮮日報とソウル大学社会発展研究所が全国の満16歳以上の男女1786人を対象に行った「2022大韓民国ジェンダー意識設問調査」でフェミニズムに対する印象を聞いたところ、半数(49.8%)が「以前は肯定的に感じたが、今は疲労感があり、関心がなくなった」と回答した。疲労感があるという回答は男性(46.4%)より女性(53.2%)の方が多かった。
一時、男子学生にも教養科目として人気があった女性学講義も、今はそっぽを向かれている。受講者がいなくて閉講となったり、インターネット上で女性学の授業を受ける学生たちが攻撃されたりすることもあるからだ。
キム・ヨンジュ社会政策部次長