20年経っても変わらない韓国女性の涙…依然深刻な「キャリア断絶問題」

【韓国ジェンダーリポート2022】〈第6回〉

 韓国の名門大学で理系の博士号を取ったイさん(38)は中堅企業の研究員として働いていたが、2年前に2人目の子ができて会社を辞めた。イさんは「上の子の時は育児休業を取ったが、2人目ができたからといってまた休職するのは少し気が引けて退職することにした」と語った。2人目の子が保育園に通うようになった昨年末から再び仕事を探し始めたが、まだ採用通知は届いていない。イさんは「研究職でありさえすれば給料は関係ない。でも、面接のたびに『子どもの世話は誰がしますか?』と必ず質問される」と言った。

 朝鮮日報とソウル大学社会発展研究所が全国の満16歳以上の男女1786人を対象に行った「2022大韓民国ジェンダー意識設問調査」では、男女・世代を問わず韓国人が最も深刻だと考えているジェンダー問題に女性の「経歴断絶(キャリア中断)」を挙げていた。「出産・育児による女性の経歴断絶支援政策」に賛成する回答者は全回答者の62.7%で、軍人給与引き上げ(59.1%)、兵役加算点制度(50.5%)、女性管理職率引き上げ(34.0%)などほかの男女平等制度よりも高かった。男性回答者も半分以上(56%)が女性の経歴断絶支援政策に賛成していた。

 女性の経歴断絶を解決しなければならないことに多くの国民が賛成しているのは、この問題がジェンダーの不平等や少子化など韓国社会が直面している最優先課題と直結しているためだ。本紙アンケート調査で「理想的な子どもの数」に過半数(55.3%)の回答者が「2人」と回答したが、現実における韓国の合計特殊出生率は0.81で半分にも及ばない。希望する子どもの数と実際の子どもの数に2倍以上の開きがあるのは、経歴断絶の影響が大きい。回答者の72.2%が「女性の経歴断絶の原因は出産と育児である」と考え、20-30代女性10人のうち6人は「子どもができると社会的達成感を得にくい」と答えた。

 経歴断絶が解決しなければ、男女雇用不平等と賃金格差も解消が難しい。経済団体の全国経済人連合会(全経連)によると、昨年の韓国100大企業の女性従業員数は約18万人で、男性従業員数(64万人)の3分の1にも満たない。平均賃金は男性が9200万ウォン(約960万円)、女性が6300万ウォン(約660万円)で、女性は男性の68.1%程度にとどまり、平均勤続年数も男性(13.1年)に比べ女性(9.6年)と3.5年少なかった。韓国女性政策研究院のキム・ナンジュ副研究員は「企業は出産・育児で休職または退職する女性の採用を渋っているし、女性たちは経歴断絶のせいで管理職への昇進が難しい。この問題が解決されない以上、少子化はもちろん、雇用不平等や賃金格差もさらに深刻化するという悪循環に陥るだろう」と語った。

ピョン・ヒウォン記者

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