ところが2017年5月24日に1時間以上行われた業務報告の場は「恐怖のムード」に近かったという。「雰囲気は殺伐としていた」「(文政権の人々が)怒鳴りつけた」「圧が強くて討論できる雰囲気ではなかった」ということだ。当時の国政企画諮問委員会は金振杓(キム・ジンピョ)委員長を含めて6分科会・委員34人からなっていた。産業通商資源部が所属する経済第2分科会の委員は6人だったが、全委員34人の半数を上回る20人が同部の業務報告の場に集まってきたという。脱原発と電気料金について、文政権関係者たちが大きな関心を示していたということだ。
当時、経済第1分科会委員だった洪鍾学(ホン・ジョンハク)元中小ベンチャー企業部長官、社会分科委員だった崔敏姫(チェ・ミンヒ)前国会議員も同日の会議に出席した。業務報告の場に来た10人余りの同部職員はこれらの人々からひどい目に遭わされたという証言が飛び出した。「電気料金引き上げ問題を今、引っ張り出してきたのはなぜだ」「エネルギー転換(脱原発)に反対するのか」「太陽光を増やせば電気料金の負担が減るではないか」といった攻撃的な質問が相次いだということだ。
ある関係者は「文政権執権当初、官界は『脱原発反対は夢にも見せてはならない』という雰囲気だった」「電気料金引き上げは口にもするなというサインだったのだろう」と語った。これに対して、当時委員だった洪鍾学元長官は「会議に出席したことしか覚えていない」、崔敏姫前議員は「勉強のため(産業通商資源部業務報告の場に)行った。(電気料金引き上げの見通しなどが)気になって、質問したことはある」「私はエネルギー専門家ではないので、(当時)私が言ったことは価値がないものだ」と言った。
産業通商資源部の2回目の業務報告から1カ月後に行われた2017年7月の国会業務報告で、当時の白雲揆(ペク・ウンギュ)同部長官は「現政権が終わる2022年まで電気料金は引き上げ要因がない」と正反対の話をした。当時の金太年(キム・テニョン)共に民主党政策委員会議長も「脱原発をしても今後5年間、電気料金の引き上げはない」と言った。文政権は一方で「電気料金は心配ない」などと国民に対して広報戦を繰り広げておきながら、韓国電力の経営難がさらに厳しくなっているさなかに1兆6000億ウォン(約1680億円)台の韓国エネルギー工科大学(韓電工大)を設立し、太陽光・風力により電力の安定性が下がったら不足した電気をロシア・中国から導入すればいいなどという計画を発表した。文政権が5年間抑え付けてきた電気料金問題は、韓国電力の急速な経営悪化を招くなど、現政権になって爆発寸前に達している。
文前大統領は大統領候補だった時に「原発政策を全面的に見直す」として、新古里原発5・6号機の建設中止や新規原発の全面中止および建設計画白紙化、2030年までに太陽光・風力など新再生可能エネルギーの発電割合を20%にまで拡大させることなどを公約としていた。
朴恩鎬(パク・ウンホ)社会政策部長