米日首脳会談と4カ国安全保障協議体(クアッド)首脳会議に出席するため日本を訪問した米国のバイデン大統領は23日、忙しい日程の中で北朝鮮拉致被害者家族と面会し慰労した。とりわけバイデン大統領が膝をかがめ90歳を超えた被害者の親たちと目を合わせる写真が日本で大きな話題になっている。
読売新聞など日本のメディアが24日に報じた内容によると、バイデン大統領は前日午後に東京の迎賓館で米日首脳会談を終えた後に拉致被害者家族と面会した。約30分にわたり非公開で行われた面会には拉致被害者8人の家族11人が出席した。当初は横田めぐみさん(拉致当時13歳)の弟で拉致被害者家族会の会長を務める横田拓也さん(53)がバイデン大統領に拉致問題解決を訴える計画だったが、バイデン大統領は出席者全員と握手し直接話を聞いたという。日本メディアが伝えた。
面会後に公開された写真を見ると、バイデン大統領は高齢のため椅子に座っていた横田早紀江さん(86、めぐみさんの母親)、有本恵子さん(拉致当時23歳)の父親の明弘さん(93)と目を合わせ床に膝を突いた。バイデン大統領は日本の天皇に会った際には黙礼も握手もせず脚を伸ばしていたが、今回はそれとは対照的だった。
バイデン大統領は高齢の出席者たちが手にした被害者の写真を見ながら話を聞き、早紀江さんをかき抱いた。バイデン大統領は「(子供を失った)あなたの思いは私もよく理解している」と述べ慰めたという。バイデン大統領は1972年に最初の妻と長女を交通事故で亡くし、2015年には長男を脳腫瘍で失った。同じ痛みを持つ親として連帯感を表現したものだ。拉致被害者家族会の代表を務める横田拓也さんは会見で「思ってもいなかった(バイデン大統領の)温かい行動に涙が止まらなかった」「米国と拉致被害者家族会が連携する姿は北朝鮮にも大きな圧力になったはずだ」と述べた。
日本が誇る「おもてなし外交」の核心とされる夕食会はこの日夕方から東京白金台の八芳園で開催された。17世紀に徳川家康の側近が作った広さ4万平方メートルの邸宅で、「四方八方どこから見ても美しい庭園」という意味でこの名が付けられたという。日本の富裕層が結構式場などでよく利用する場所だ。
岸田首相は全国各地から集めた食材を使った和食でもてなした。東京シャモ(地鶏)の鉄板焼き、徳島県の野菜、信州サーモンのムニエル、伊勢エビなどがテーブルに並んだ。酒を飲まないバイデン大統領のために岸田首相は自らの地元である広島のレモンサイダーで乾杯した。岸田首相の妻の祐子夫人は着物姿で出席し、普段から愛用する茶具を使った抹茶でもてなしたという。
デザートはアイスクリーム好きのバイデン大統領に合わせ、宮城県名取市から空輸したチョコレートと抹茶のジェラートが出された。バイデン大統領は副大統領だった2011年8月に名取市を訪れ、東日本大震災の被害者を慰労したが、今回もその因縁を考慮したという。日本政府関係者はTBSの取材に「バイデン大統領は冗談を語るなどとても和気あいあいとした雰囲気だった」「バイデン大統領は特にデザートが気に入ったようだった」と伝えた。
バイデン大統領は日本での最終日となる24日にも午前10時半から東京の首相官邸でクアッド首脳会議、インドとオーストラリアの首相と個別の首脳会談など重要な日程を消化した。その後は専用のヘリコプターで午後6時に東京の横田空軍基地に移動し帰国した。バイデン大統領の滞在中、日本政府は宿泊先のホテルオークラなどを中心に1万8000人の警察官を動員するなど警備を強化したが、ホテル周辺にはバイデン大統領とその専用車「ザ・ビースト」を見るため多くの市民が集まった。
東京=崔銀京(チェ・ウンギョン)特派員