「孤独死したら…」 日本では区役所が終活相談事業

新型コロナ流行で高齢者が人生の締めくくりに備え身辺整理 相談相次ぐ

 「お亡くなりになった後のことを処理してくださる方の連絡先などをあらかじめお知らせください。区役所が情報を保管いたします。その日が実際に迫った時、配偶者の方やお子さんがいなくてもご本人のご希望通りに処理されるようにします」

 日本の首都・東京の中でも有数の繁華街・池袋にある豊島区役所は先月、「終活情報登録」のための小さな窓口を開設した。「終活」とは、高齢者が自ら人生の締めくくりや終末期に関する準備をする一連の行動を指す言葉だ。豊島区で暮らしている65歳以上の高齢者なら誰でも緊急連絡先と臓器提供・献体の意思の有無、遺言状の保管場所などを区役所にあらかじめ登録することができる。登録を証明するステッカーやカードも発行し、救急隊員などが確認後、区役所に連絡するようにしている。区役所は、本人が死亡した場合、あらかじめ登録されている人と情報を共有し、故人が望んだ通りに後のことを処理するようにしている。

 日本では「体力と精神力がある時に人生の締めくくりを自ら準備する」という認識が広まり、定着している。だが、終活情報の登録が施行されたのは東京都23区の中でも豊島区が初めてだ。一人暮らしの高齢者の割合が東京都全体の平均より10ポイント以上高い地域であるうえ、東京という大都市の特性上、かなり以前に上京して親や親族と疎遠になり、子ども・配偶者もいないケースが多いため、区役所が一肌脱いだものだ。

 豊島区は昨年2月には「終活あんしんセンター」という終活専用相談窓口も開設した。新型コロナが流行している渦中でも1000人を超える高齢者が利用した。豊島区高齢者福祉課のイマイユリ係長は「新型コロナ時局だったので終活の相談需要が高まったもの」「有名人や周囲の知人たちの突然の死が相次ぎ、家で一人で考える時間が増えて「自身の死」について悩む人も増えたからだろう」と語った。

 事実、専門家らは、新型コロナの大流行を経験して「どのように死ぬのか」についての考え方や省察、悩みが日本社会にさらに広まっているものと分析している。書店では『日本人はどう死ぬべきか?』『在宅ひとり死のススメ』など高齢者が自ら終末期を考察する本が人気だ。

 日本人の通常の終活は資産内訳や相続・処分方式、希望する葬儀手続き、介護・延命治療・遺言状関連情報などを1カ所に書いておき、これを共有するのが基本だ。「家の整理」も重要な事項の一つだ。使わない家具や服などをできるだけ整理し、残された人たちの遺品整理における負担を軽減するのだ。日本最大の中古品取引アプリ「メルカリ」では、こうした高齢者の終活のためにメルカリの利用方法を教える講座を毎月無料で開催しているほどだ。千葉県在住のAさん(50)さんは「1年前に祖母を亡くしたが、田舎の家はおろか家の中の荷物もまだ処分できていない」「両親はあらかじめ身辺の整理をしておきたいと口癖のように言っている」と語った。

 最近では終活が「死んでも、家族や周りの人々に対して迷惑をかけてはいけない」ということに集中するあまり、終末期を前にした高齢者の気持ちへの配慮がない、という指摘もある。小説『窓ぎわのトットちゃん』で知られる作家・女優の黒柳徹子(88)など高齢の有名人が「終活はしていないし、やる考えもない」と公に発言するケースも増えている。今年1月には日本の有名作家であり思想家でもある五木寛之(89)が『捨てない生きかた』という本を出版し、20万部を超える売上を記録した。「愛着ある『ガラクタ』は人生の宝物である」という内容が大きな反響を呼んだものだ。

東京=崔銀京(チェ・ウンギョン)特派員

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  • ▲12日午後、東京都豊島区役所の終活あんしんセンターで、職員に相談する区民。写真=崔銀京(チェ・ウンギョン)東京特派員

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