ウクライナ戦争の一方で…軍事・外交面で影響力を高める日本

ロシアを非難し中国けん制の先導国に
来月には米国、インド、オーストラリア首脳を東京に招待
ニューヨーク・タイムズ「平和国家のくびきが解かれる懸念」

 ロシアによるウクライナ侵攻で国際秩序が揺らぐ今の状況を利用し、日本がアジアで存在感を高めている。ウクライナ戦争を巡ってロシアを強く批判し、また米国の同盟国として中国けん制にも積極的に乗り出すことで、国際社会における自国の立場を再び強めているとの見方も出ている。日本の林芳正・外務大臣は先日ポーランドを訪問し、ウクライナと連帯する意志を明確にした上で、日本への移住を希望するウクライナ難民20人以上を連れてきた。岸田文雄・内閣は異例にもウクライナ難民をさらに受け入れる意向を表明するなど、今回の事態を受けて積極的に動いている。

 日本は来月24日には中国けん制の核心軸である米国、日本、インド、オーストラリアの4カ国からなる安保協力体「クアッド」の2回目となる対面での首脳会議を東京で開催する。安倍晋三・元首相当時からクアッドの立ち上げを呼び掛け、その発足後はクアッドの事実上の事務局となっている日本の立場が今回の会議でさらに強化されるものとみられる。昨年は米国と英国が「オーストラリアへの原子力潜水艦建造支援」を目的にこれら3カ国からなるAUKUS(オーカス)を発足させたが、これに日本を参加させる動きがあるとも報じられている。日本の外務省はこのニュースを否定しているが、長期的に今のAUKUSが最終的に日本を加えたJAUKUS(ジョーカス)になるとの見通しも少なくない。

 日本は最近、米国と日本が中心となって進めるインド・太平洋構想にASEAN(東南アジア諸国連合)諸国からの協力を取り付けるため外交に力を入れている。岸田首相は先月19-21日にインドとカンボジアを訪問し、今月末にはインドネシア、タイ、ベトナムを訪問する予定だ。カンボジアはASEANの議長国、インドネシアはG20(20カ国・地域)議長国、タイはアジア太平洋経済協力会議(APEC)の議長国だが、これらの国々に対し中国の一帯一路に対抗するインド・太平洋構想への参加に向け説得に力を入れるものとみられる。

 日本による一連の動きについて米ニューヨーク・タイムズ紙は12日「日本がウクライナに防弾チョッキやヘルメットなどの軍事装備を支援し、岸田首相はスピードのある国防力増強論について発言している」とした上で「ウクライナ戦争を利用して日本が『平和国家』のくびきから抜け出すとの懸念が浮上している」と指摘した。同紙は「(今が)平和国家のアイデンティティーから遠のく日本の変化の『決定的瞬間』だ」との見方も示した。国際社会で積極的に声を上げ、自衛隊の憲法への明記を目指し、軍事大国に向かおうとしているという意味だ。今年に入って日本の政権与党である自民党と防衛省は「防衛力の抜本的強化」を強調し、GDP(国内総生産)の1%以内としている防衛予算を大きく増額させたいと意気込んでいる。

 このような最近の日本の動きについては「東アジアに大きな懸念を呼び起こす可能性が高い」との指摘が日本国内からも出始めている。匿名を求めた日本のある外交専門家は「日本の軍事的・外交的立場の強化は今後いかなる形であれアジア全体のバランスを揺るがす要素になるだろう」との見方を示した。この人物はAUKUSについて「中国が『アジア版NATOだ』と反発するほど徹底した軍事同盟であり、原子力潜水艦技術の共有を目的とするものだ」とした上で「日本がこれに加入した場合、問題がさらに拡大しかねない」との懸念を示した。

成好哲(ソン・ホチョル)記者、東京=崔銀京(チェ・ウンギョン)特派員

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