捜査権剥奪法案が国会通過なら検察が崩壊…危機感を覚えた韓国検察総長が総力戦

文在寅大統領に拒否権行使を建議することも検討
法務部長官には緊急会合を要請
「検察総長の職に恋々としない」背水の陣

 韓国与党「共に民主党」が検察捜査権の完全剥奪を推し進める中、危機感を覚えた金浯洙(キム・オス)検察総長がこれを阻止しようと総力戦を繰り広げている。政権寄りとされる金総長だが、検察の組織自体が瓦解する危機に直面し、これを阻止するために全力で動いているのだ。

 12日のチョソン・ビズの取材を総合すると、大検察庁の企画調整部は、共に民主党が検察捜査権完全剥奪に関する法案の国会通過を強行する場合、大統領による公布が決まる直前に、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対し、拒否権を行使するよう建議することを検討している。大検察庁は文大統領の拒否権行使を最後のカードとみている。これは金総長が提示した意見ではなく、企画調整部から出た案だという。

 法案が国会本会議の議決を経ると、国会は政府に対して法律の公布を要請する。このとき大統領は、その法案について異議がある場合、法案が政府に送られてから15日以内に異議書を付けて国会に差し戻し、再審議を求めることができる。

 国会に戻された法案は、在籍議員の過半数の出席と、出席議員の3分の2以上の賛成によって議決されれば法律として確定する。しかし、検察捜査権完全剥奪を推進する共に民主党の議席数は全議席の約60%にとどまる上、最大野党「国民の力」や正義党など大部分が法案に反対しているため、議決される可能性は低い。

 金総長は前日午前、大検察庁で全国検事長会議を開き「検察の捜査機能が廃止されれば、検察総長である私としてはこれ以上職務を遂行するいかなる意味もない」と背水の陣を敷いた。共に民主党の主導で法案が国会を通過した場合、文大統領に直接会って拒否権を行使するよう建議し、それでも検察捜査権剥奪が強行されれば検察総長を辞任するという意思の表れだとみられる。

 この日午前には、ソウル市内で法務部(省に相当)の朴範界(パク・ポムゲ)長官と会い、検察捜査権完全剥奪の阻止に向けた支援を要請した。金総長は朴長官に対し、検察の捜査機能の全面廃止に関する問題点と、検察からの要請事項を伝えた。金総長は民主党議員らにも個別に接触し、法案処理が不当だと訴えているという。

 一方、朴長官はこの日午後、蔚山空港で記者団と会い「検察捜査権剥奪法案が通過した場合、大統領に拒否権行使を建議するつもりか」との質問に「あまりに気の早い話だ」と述べた。

キム・ジョンヨン記者

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  • ▲金浯洙(キム・オス)検察総長

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