韓国大統領執務室移転に民主党「安保・市民財産権を侵害」

執務室竜山移転反対「次期大統領の横暴」
「補正予算以外の予算を使えば違法
政権引き継ぎ委員会の業務からも逸脱
超法的越権行為やめよ」
尹錫悦氏側 企画財政部に予算申請予定
大統領府「承認するかどうか協議する」

 共に民主党は20日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領の大統領執務室竜山移転計画を「拙速」「ずさん」と評した上で、「即時撤回せよ」と述べた。同党は尹錫悦氏の執務室移転宣言が超法的越権行為だとも言った。

 共に民主党非常対策委員会の尹昊重(ユン・ホジュン)委員長は同日、記者懇談会を開き、「国の安全保障に危害を加え、市民の財産権を侵害する拙速でずさんな執務室移転計画は直ちに撤回せよ」「執務室竜山移転撤回を拒否するなら、共に民主党は決死の姿勢で安保と市民の財産権を守るだろう」と述べた。同委員長はさらに、「区庁一つ移転するにしても住民の意思を問う公聴会を開く」「国の安全保障や市民の財産権を左右する大統領府と国防部移転を国民の意思を問うことなく強行するのが果たして妥当なのか。国民の意思を全く無視した次期大統領の横暴だ」とも言った。同党のコ・ヨンジン首席報道官は「国政の混乱と安保の空白が懸念される」「先制攻撃や終末高高度防衛ミサイル(THAAD)追加配備など力に基づく安保を力説してきた尹錫悦氏が安保問題をこのようになおざりにするのは非常に矛盾している」と述べた。共に民主党は大統領が国防部のあるソウル・竜山の執務室を使うようになれば、軍の統帥権者である大統領と軍首脳部が同じ場所に集まることになり、安保面において脆弱(ぜいじゃく)になるとも言った。

 同非常対策委員会の蔡利培(チェ・イベ)委員は「尹錫悦氏の大統領執務室移転は法律的にも予算上でも不可能だ」「政権引き継ぎ委員会法を見ると、執務室移転は同引き継ぎ委員会の業務ではない」「就任後、補正予算を組むならまだしも、ほかの予算を使えば違法だ」と言った。尹錫悦氏は企画財政部に執務室移転のための予算496億ウォン(約49億円)を申請すると言ったが、これは違法に当たる可能性があるという意味だ。現在の大統領府は予備費問題について「承認するかどうかは追って協議する」と明らかにした。

 共に民主党の趙正シク(チョ・ジョンシク)議員は「政権引き継ぎ委員会の業務は国務委員(閣僚)候補者の検証や新政権政策基本路線の整備、就任行事の準備、政府組織・機能および予算現況把握などに限定される」「一言で言えば、超法的越権行為をしていると言っても過言ではない」と批判した。同党のチャン・ギョンテ議員も「大統領の権限は遡及(そきゅう)して行使することはできない」「次期大統領は政府の首班でも、軍の統帥権者でもない」と言った。ただし、共に民主党出身のイ・ソクヒョン民主平和統一諮問会首席副議長は「大統領執務室移転は陣営の枠にとらわれて争うことではない。『九重の天(宮殿の奥の意)の構造は昔から議論されてきた」「文在寅(ムン・ジェイン)大統領と尹錫悦氏が緊密に協議すれば助けになるだろう」と語った。

 尹錫悦氏が所属する国民の力は歓迎している。同党の李俊錫(イ・ジュンソク)代表は「次期大統領の言動は権力を下におろすということ。国民とより近いところで意思疎通を図るという意志だ」「文在寅大統領もほかの人々とより多く意思疎通を図り、一般市民たちと近い所にいたら、秋美愛(チュ・ミエ)元法務部長官ではなく尹錫悦元検察総長(日本の検事総長に相当)の方が正しいことにもっと早く気付いていただろう」と言った。同党内の一部では、執務室移転問題が今年6月のソウル市長など地方選挙において変数となる可能性を懸念していると伝えられた。

梁昇植(ヤン・スンシク)記者、キム・スンジェ記者

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