9日に行われた韓国大統領選の本投票は熱気の中でおおむね順調に行われた。しかし、事前投票の不適正な管理による混乱で、選挙管理委員会に対する国民の不信が高まり、各地でさまざまな雑音が聞かれた。
ソーシャルメディア(SNS)には、投票に行った記念撮影の投稿が相次いだ。手の甲に赤い投票印を押したり、投票所前で写真を撮ったりする若者が多かった。同日午後2時ごろ、ソウル市永登浦区で投票を終えた会社員(29)は「誰に入れるべきか決められず、投票を見送ろうかとも思ったが、それでも投票所に行くことが権利であり義務だと考え、投票所に来た」と話した。ソウル市中区の投票所を訪れた有権者(27)は「20代は政治的に無関心なケースが多いというのは正確ではないようだ。周囲の友人は皆が投票したと積極的に話している」と語った。
投開票の過程ではさまざまな騒動があった。同日午前10時半ごろ、江原道春川市の中央初等学校(小学校)に設けられた投票所では、事前投票を済ませた70代男性に本投票でも投票用紙が交付されたことが問題になった。男性は「投票所の管理がしっかりなされているか確認するため、身分証を提示したところ、投票用紙をくれたので驚いた」と話した。選管関係者は男性が今月5日に事前投票を済ませた事実を確認。男性に投票用紙が二重交付された経緯について調べていると説明した。
有権者が「投票用紙に投票印が(欠けて)半分しか押されない」と抗議し、警察が出動したケースもあった。ソウル市江南区の大谷初等学校の投票所で投票を済ませた男性有権者は投票印の問題を指摘し、選管関係者と口論になった。結局通報を受けて出動した警察が男性を説得して帰宅させた。騒動の後、投票所には「投票用紙に(投票印が)半分だけ押された状態でも投票は有効です」という告知が張り出された。
また、同日午後9時ごろ、仁川市富平区の三山ワールド体育館に設けられた開票所で一部市民が「開票所に不審な投票箱が運ばれている」と主張し、投票箱1個の搬入を妨害した。選管は「渋滞のため職員が徒歩で投票箱を運んだところ、市民が集まっているのを見て驚き、再び車で移動しようとしたものだ。立会人と護送に当たる警察もその場にいた」と説明した。
仁川市南洞区の南洞体育館の投票所では投票箱を開封したところ、色が異なる投票用紙が入っていたとの指摘があり、一時騒動となった。通常の投票用紙は白だが、薄い黄色の投票用紙が多数見つかったとの指摘だ。選管は「事前投票用紙でそういう現象が起きたとみられるが、管轄区庁印と選管印がそろっており、不正投票を疑う状況ではない。(事前投票用紙はその場で印刷されるため、)設備によって色が異なることもあり得る」とした。
カン・ウリャン記者、キム・ミンギ記者